港区女子との飲み会には、稼ぎのいいハイスペック男性が数多く集まる。男性たちはいろいろな形で「お金持ってますアピール」をするが、その中に異色の口説き方をする男性がいたという。現役港区女子でコラムニストの吉川リサコ氏がリポートする。
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ユカは、とにかく楽しく飲むことが好きな港区女子である。そしてストライクゾーンが広かった。男性の年収や見た目だけで態度を変えることはなかった。フットワークが軽く、見た目は深田恭子似。柔らかい雰囲気とノリの良さというモテ要素で、六本木界隈で飲むハイスペから男性アイドルまで、様々な男たちを虜にした。
そんなユカが出会ったのが、佐藤(仮名)だ。佐藤は東大卒、MBAを持つ外資系金融マン。ここまでは港区飲み会でよくあるスペックだが、少し変わっていた。
口説きが、必ず「前金制」なのである。
「勉強ばかりしてきたからモテないのわかってるけど、君みたいな女性の時間を確保するにはいくら払ったらいい? とりあえず口座番号教えて」
飲み会後、LINEでこんなことを送ってきた。佐藤の見た目は、そんなに悪いわけでもない。あえて言えば、服のセンスが残念なことくらいだろうか。
「いくら払ったらいい?」の言葉に対し、そこは多くのハイスペ男子に口説かれ慣れているユカ。「お金持ちアピール」は日常茶飯事だ。LINEは真に受けず、むしろユーモアだと思い、口座番号に「笑」をつけて「ウケる笑。佐藤さん面白い、また飲もうね~」と返信した。
翌日。「振込完了。とりあえず、30万振り込みました。なので食事に行きませんか?」とLINEが来た。
確認すると本当に振り込みがあり、驚いたユカはとりあえず会うことにした。佐藤の話は面白かったし、本当に振り込んできたので悪い気はせずにいた。30万円の中から、一休で男性も使える3万円のスパチケットを買って御礼としてプレゼントしたら喜んでくれた。
そうしたら食事後──。
「楽しかったです。キス50万、その次の関係は100万、どうかな?」
そこまでは断った。「じゃあ、もう1回食事30万で」。またOKを出す前に振り込んできた。食事の場は楽しい。しかし、一緒にいるときは迫ってこないのに、後からLINEで「次はキス100万、いい? その先は200万、すぐ振り込むから」と送ってくる。それを断ると、だんだん値段を上げてきた。「300万ならいい?」「500万は?」連日のようにLINEが来る。そして追い討ちがかかった。
「明日1億振り込むよ、1億ならいいだろ? すぐ用意できるから!」
佐藤からそんな電話が来たのである。