中国の習近平国家主席による視察で“やらせ”が続出していることが明らかになった。習氏は9月下旬、吉林省松原市の査干湖で漁の様子を視察したが、中国国営中央テレビ(CCTV)はこの模様をトップニュースとして報道し、大きくて活きの良い魚が大量に捕獲されるシーンを放映した。
しかし、この湖周辺の住民が中国版ツィッター「微博(ウェイボ)」上で、「このような漁の予行演習が数日前から行われており、出演者はいずれも地方政府の関係者や幹部ばかりで、魚は事前に仕込んでおいて、湖に放されていたものだ」と暴露した。
CCTVの映像について、ネット上では「漁民がなぜライフジャケットまで着用しているのか」、「服は新品のように見える」、「漁民の雰囲気は全然ない。兵士のようだ」などと疑問の声が寄せられていた。
習氏は9月下旬の3泊4日で、吉林省ばかりでなく黒竜江省や遼寧省といった東北三省を視察しているが、黒竜江省の麦畑では習氏の背景に映し出されている数台のコンバインは他の農場から借り出したものだったことが分かった。遼寧省の油田で働く人々はいずれも地元政府や石油会社の幹部ばかりだったという。
中国では、最高幹部の視察に伴い地元幹部が「素晴らしい業績」をアピールするため、しばしば「やらせ」を演出している。
たとえば、2013年2月4日、習氏が甘粛省蘭州の五泉市場を視察した際、販売業者に扮した地元幹部が10日前から予行練習していたほか、辺境の農村で視察に来た習氏を歓迎するのは地元の警察官ばかりで、習氏の警備も兼ねていたとの事実がネット上で暴露されている。