国内

積水ハウス55億円詐欺事件 地面師に高飛びされた警察の失態

詐欺の舞台になった「海喜館」(時事通信フォト)

「本来であれば、警視庁が表立って動くのはもう1週あとの予定だった。急転直下、犯人グループの強制捜査・逮捕となったのは、捜査の手が伸びることを察知した主犯格の男が高飛びしたから。警視庁としては、取り逃がしたかたちで大失態です」(捜査関係者)

 10月16日、大手住宅メーカー・積水ハウスから55億円を騙し取った「地面師」グループの男女8人が、偽造有印私文書行使などの容疑で逮捕された。

 その3日前の13日未明、主犯とされるカミンスカス(旧姓・小山)操・容疑者(58)は羽田空港にいた。ファーストクラスのチケットを現金で購入すると、フィリピン・マニラ行きの飛行機に乗り込んだ。

 事件を簡単に振り返る。五反田駅から徒歩3分の一等地にある約600坪の土地に、すでに営業していない「海喜館」という旅館が建つ。昨年4月、犯人グループは偽造書類やパスポートなどを使って所有者になりすまし、総額100億円ともいわれたその土地の売却を積水ハウスに持ちかけた。書類が偽造されたものと判明したときには、積水ハウスはすでに契約額の大半を支払ったあとだった。ジャーナリストの伊藤博敏氏がいう。

「土地所有者を装う手口の『地面師』グループの事件で、“明らかな犯人”と呼べるのはなりすまし犯だけ。関係者が“私も騙された被害者だ”と口裏を合わせれば、摘発に何年も時間がかかることがあります。ですが、過去最大級の事件規模、被害者が積水ハウスという一部上場企業だったことが、警視庁の捜査を焦らせた」

 警視庁は今年7月、小山容疑者らの関係先を家宅捜索し、事情聴取を行なった。その際に携帯電話なども押収したが、確たる証拠がつかめなかったため、逮捕には至らなかった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《中山美穂さん死後4カ月》辻仁成が元妻の誕生日に投稿していた「38文字」の想い…最後の“ワイルド恋人”が今も背負う「彼女の名前」
NEWSポストセブン
工藤遥加(左)の初優勝を支えた父・公康氏(時事通信フォト)
女子ゴルフ・工藤遥加、15年目の初優勝を支えた父子鷹 「勝ち方を教えてほしい」と父・工藤公康に頭を下げて、指導を受けたことも
週刊ポスト
山口組分裂抗争が終結に向けて大きく動いた。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
「うっすら笑みを浮かべる司忍組長」山口組分裂抗争“終結宣言”の前に…六代目山口組が機関紙「創立110周年」をお祝いで大幅リニューアル「歴代組長をカラー写真に」「金ピカ装丁」の“狙い”
NEWSポストセブン
「衆参W(ダブル)選挙」後の政局を予測(石破茂・首相/時事通信フォト)
【政界再編シミュレーション】今夏衆参ダブル選挙なら「自公参院過半数割れ、衆院は190~200議席」 石破首相は退陣で、自民は「連立相手を選ぶための総裁選」へ
週刊ポスト
中居正広氏と報告書に記載のあったホテルの「間取り」
中居正広氏と「タレントU」が女性アナらと4人で過ごした“38万円スイートルーム”は「男女2人きりになりやすいチョイス」
NEWSポストセブン
Tarou「中学校行かない宣言」に関する親の思いとは(本人Xより)
《小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」》両親が明かす“子育ての方針”「配信やゲームで得られる失敗経験が重要」稼いだお金は「個人会社で運営」
NEWSポストセブン
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波も(マツコ・デラックス/時事通信フォト)
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波、バカリズム脚本ドラマ『ホットスポット』配信&DVDへの影響はあるのか 日本テレビは「様々なご意見を頂戴しています」と回答
週刊ポスト
大谷翔平が新型バットを握る日はあるのか(Getty Images)
「MLBを破壊する」新型“魚雷バット”で最も恩恵を受けるのは中距離バッター 大谷翔平は“超長尺バット”で独自路線を貫くかどうかの分かれ道
週刊ポスト
約6年ぶりに開催された宮中晩餐会に参加された愛子さま(時事通信)
《ティアラ着用せず》愛子さま、初めての宮中晩餐会を海外一部メディアが「物足りない初舞台」と指摘した理由
NEWSポストセブン
「フォートナイト」世界大会出場を目指すYouTuber・Tarou(本人Xより)
小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」に批判の声も…筑駒→東大出身の父親が考える「息子の将来設計」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン
沖縄・旭琉會の挨拶を受けた司忍組長
《雨に濡れた司忍組長》極秘外交に臨む六代目山口組 沖縄・旭琉會との会談で見せていた笑顔 分裂抗争は“風雲急を告げる”事態に
NEWSポストセブン