人間ドックの予約サイトを覗いてみると、なんと約30種類もの検診・検査がヒットする。もしこれらを全部受けたなら、数万円はくだらない。さらに、手術や服薬と同じように検診にもリスクが伴う。何をどう受けるべきなのか、受けざるべきなのか──。そこで。特に気になるがん検査について、医師に話を聞いた。
KISHI CLINICA FEMINAの岸郁子院長が言う。
「自覚症状が出にくく、見過ごされやすい子宮頸がんや卵巣がんを見つけるため、婦人科検診を年に1回は受けています」
産婦人科医の高橋怜奈先生も同様だ。
「子宮頸がん検診は私も毎年受けています。性交経験のある女性は100%受けた方がいい検査です。かかると子宮を摘出せねばならなくなることもあり、そうすると妊娠できなくなる。10代後半でかかる人もいますから若い女性も検診を受けることをすすめます。
また、経腟超音波検査も毎年受けています。これは子宮筋腫や卵巣腫瘍、卵巣の状態がわかる検査。年に1回受けておくと安心です。性交経験がないなど内診ができない人や腟では痛みが心配な人は、肛門から器具を入れて調べることもできます」
高橋先生は、自身の専門外のがん検診はこう受けていると話す。
「大腸がん検診は今のところ便潜血検査だけを受けています。いわゆる検便なのですが、これで異常がなく、お通じもちゃんとしているようなら、30代前半なので内視鏡はまだ必要ないと考えています。胃がんは、ピロリ菌への感染が大きな要因。ピロリ菌の有無は簡単に検査できるのでチェックすべきです」
また、樹木希林さんや小林麻央さんら有名人が相次いでかかった乳がんは、女医にとっても大きな関心事だ。乳がん検診には大きく分けてマンモグラフィー検査と超音波検査(エコー)の2種類あるが、内科医の児玉華子先生は、こんな受け方をしていると話す。
「北斗晶さんや小林麻央さんの報道があってから、やはり気になるようになりました。若くてもなる可能性があるうえ、進行も早いですからね。そこで、マンモグラフィーとエコーの両方を受けました。若いうちは乳腺の割合が多いため、乳がんの初期病変である微細な石灰化が見落とされるリスクが高くなるマンモグラフィーと、検査者の熟練が必要なエコーの欠点を、補足し合えると考えてのことです。
自治体や職場の検査だと両方受けることは難しいかもしれないので、1年ごとに交互に受けるなどの対応をしてみてはいかがでしょう」
明治通りクリニックの美容皮膚科医・永井真知子先生もマンモグラフィーとエコーの両方を受けている1人。
「本当はマンモグラフィーの方が精度が高いといわれていますが、やはり乳房をつぶして検査するのは痛みを伴う。そこで、マンモグラフィーを受けて異常がなければ翌年はエコーでいいかな、と隔年で使い分けます」
※女性セブン2018年11月8日号