“真の霊長類最強女子”を決める頂上決戦は、実現するのか──。レスリング女子で史上初の五輪4連覇を達成した伊調馨(34)が、10月14日の全日本女子オープンで2016年リオ五輪以来となる公式戦に復帰し、見事優勝したことで、「世紀の一戦」の実現への期待が高まっている。
リオ五輪で58kg級を制した伊調が復帰戦で出場したのは東京五輪で新設される「57kg級」だ。その代表の座を巡り、アテネ、北京、ロンドン五輪の55kg級で3大会連続となる金メダルを獲得した吉田沙保里(36)とぶつかるのではないかと、ワイドショーなどで注目を集めている。
2016年のリオ五輪(53kg級)では銀メダルに終わった吉田だが、個人戦206連勝の金字塔を打ち立てたレジェンドだ。伊調との“国民栄誉賞マッチ”の期待が高まるのは当然だろう。スポーツジャーナリストの谷口源太郎氏はこういう。
「私は、この2人が今さら優劣をつける意味はないと思っていますし、吉田選手のベストのウェイトは53~55kgなので、わざわざ57kg級で対戦するのは不自然です。ただ、吉田選手があえて階級を上げ、対戦が実現する可能性はゼロではないでしょう。今のスポーツ業界はメディアの意向に左右される傾向が強い。必ず話題を呼ぶ2人の対決を求めるメディアからの様々な圧力は無視できませんからね」
ただ、今のところ吉田は東京五輪を目指すかを明言していない。スポーツライターの宮崎俊哉氏が語る。
「現状はタレント活動がメインになっている。全日本や至学館大のコーチとして合宿などで後輩を指導し、スパーリングもやっていますが、まだ“自分を追い込む練習”という感じでは全くない」