「視聴率30%といえば、国民の3人に1人が観てるんだぞ」──テレビ局にとって視聴率はスポンサーを説得するための絶対の営業ツールであり、テレビマンが胸を張って誇るための「物差し」だった。
だが、その“目盛り”は時代とともに変わり、10%を超えれば大ヒットとなり、一桁も当たり前。冬の時代を迎えたテレビ界はいま、現状打開のために導入した「新指標」で“目盛りの読み方”まで変えようとしている。テレビ局が堂々とは口にできない「視聴率」のリアルな話──。
◆CM取引に「タイムシフト視聴率」
10月中旬のある日、新興住宅が建ち並ぶ都内のある地域に、ドラマ『相棒』(テレビ朝日系)の新シリーズを告知する折り込みチラシが一斉に撒かれた。
「ここは、ビデオリサーチによる視聴率調査のモニター世帯が多いと噂されるエリアなんです。視聴率の“新指標”が登場したいま、リアルタイムでも録画でもいいから、1人でも視聴者を増やしたい」(テレ朝関係者)
10月1日、ビデオリサーチが各局の上半期の平均世帯視聴率を公表した。ゴールデン、プライム、全日とも日本テレビが1位。5年連続の「3冠」が見えてきた。2位以下は、テレビ朝日、TBS、フジテレビ、テレビ東京と続くが、トップを奪う勢いを見せるのがテレ朝だ。
同局は『相棒17』や『リーガルV』など10月スタートの連ドラが好調で、日テレの「週間3冠」を10月第3週で阻止。これから年末に向けてデッドヒートが予想される。だが、「視聴率戦争はもう一つある」と打ち明けるのは別の民放関係者だ。