京都大学の特別教授・本庶佑氏(ほんじょたすく・76)がノーベル医学生理学賞受賞を受賞したことでも広く知られることになったオプジーボなどのがん免疫治療薬。“夢の治療薬”と言われる一方で、がん免疫治療薬の適用範囲は、まだ限られている。適用範囲外であれば、効果が立証されていないだけでなく、予期せぬ重篤な副作用が起こることも十分考えられる。
ノーベル賞のニュースが“万能薬”のイメージを増幅した一面もある。さらに問題なのは、オプジーボなどのがん免疫治療薬が生まれる前から存在していたものの、科学的根拠を伴う効果が立証されていない“免疫療法”の存在だ。
数多くの種類が存在し、オプジーボなどと混同しそうになるかもしれないが、全くの別物だ。がん治療に詳しい腫瘍内科医の日本医科大学教授・勝俣範之氏が話す。
「“免疫を高める治療法”という意味で免疫療法と謳っているものですが、実際に足を運んで調べてみると、臨床試験で効果が確かめられているとはいえない疑問があるような内容のものばかり。にもかかわらず、数百万円をとっていたりもします。患者側も効果が立証されていないことを承知の上で、“万が一”にかけるというならまだしも、クリニック側が巧みな説明でそのあたりを曖昧にしていることが少なくないので注意が必要です」