10月23日、衝撃的な研究結果が全世界をかけめぐった。オーストリアのウィーンで開かれた『胃腸病学会議』。欧州やアジアなどさまざまな国の被験者8人を対象にした研究で、被験者全員の排泄物から9種類の「マイクロプラスチック」が検出されたと発表した。その量は排泄物10g当たり平均20個。しかも、検出された被験者のなかには日本人もいた。
「マイクロプラスチック」とは、プラスチックゴミが微細化したもので、大きさが5mm以下のものをいう。私たちの体内には、知らず知らずのうちに大量のプラスチックゴミが入っているということだ。
マイクロプラスチックを研究している愛媛大学の日向博文教授(沿岸海洋学)が語る。
「路上に捨てられたペットボトルやレジ袋、お菓子の袋などが、雨で流されて海に入ります。プラスチックの洗濯ばさみが1年もしないうちにボロボロになるのは、紫外線で劣化するからですが、同様に海上を漂うプラゴミも紫外線で劣化し、波の力などで粉々になる。それを小さなプランクトンや魚、貝、海鳥などがエサと間違えて食べてしまう。生態系への影響や海洋汚染が深刻な問題になっています」
今年2月、台湾が使い捨てプラスチック製品を2030年までに全面的に禁止する方針を決定。4月にはイギリスが、プラスチック製のマドラーなどの使用を来年から禁止する計画を打ち出した。この動きは民間にも波及している。7月、大手コーヒーチェーンの「スターバックス」は、2020年までに全店舗でストローの使用を全廃すると公表するなど、世界中でプラスチックによる汚染が問題視されている。
日本でも多くの著名人が声を上げ始めた。ローラ(28才)は10月28日のインスタグラムで、《ペットボトルのお水を買わなくなってなるだけマイボトルを持ち歩くようになったらどんどん愛着が湧いてきたんだ》とマイボトルの写真をアップし、《少しずつみんなで使い捨てプラスチックをなくしていこう》と呼びかけた。滝川クリステル(41才)は10月4日、自身のインスタで、WWF(世界自然保護基金)のキャンペーンの一環として、大量のゴミの海を泳ぐウミガメの絵をアップし、《野生生物の住まいや今置かれている厳しい現状について、学び・支援できる、新しい支援の形です》と環境問題への意識を促した。
こうした世界的な環境保護への働きかけはこれまでもあったが、人体からマイクロプラスチックが検出されたとなると、もはや自然環境や野生動物だけの問題ではない。マイクロプラスチックによる海洋汚染について研究する東京農工大学の高田秀重教授が言う。
「マイクロプラスチックを食べた魚や貝を人間が食べれば、当然体内に入ります。今回の研究で、取り込んだマイクロプラスチックが便として排出されているとわかったので、物理的に体内に留まることはないと思います。一方で、プラスチックに付着した添加剤や化学物質は体内から出ていくわけではない。一部は食べたが最後、ずっと体に残り続けるんです」
※女性セブン2018年11月15日号