時代とともにリアルタイム視聴率は低下の一途を辿り、一桁も当たり前。冬の時代を迎えたテレビ界はいま、現状打開のために「新指標」として、録画再生の視聴割合を指す「タイムシフト視聴率」を導入した。
だが、現実には、「タイムシフト視聴率が好調でも広告収入が増えたという話を聞くことはあまりない」(広告業界関係者)とのことで、制作費はこの数年削られる一方。上からは「録画でも数字を取れるコンテンツ」を求められ、現場は混乱するばかりだという声もある。
番組制作陣の頭を悩ますのは、ネット経由で番組を公開し、スマホやパソコンで好きな時に閲覧できる「オンデマンド放送」の存在だ。
現在、各局はスマホで番組が観られる「オンデマンドアプリ」をリリースしているが、これがテレビ局の命運を握るまでに成長している。とりわけ民放5局が共同で展開するアプリ『TVer』は、1500万ダウンロードを超え、月間4500万回の再生回数を誇る人気アプリと化した。番組制作会社スタッフはこう語る。
「このアプリは視聴者がCMを飛ばすことができず、1本15秒のCMで1再生あたり3~4円でスポンサーと取引されます。一つの番組にCMが10本として、再生回数が100万回を超える人気作品の場合、局には4000万円が入る計算になる。
これ自体は将来性のあるビジネスですが、問題は数字だけしか見ない上層部。よく分かっていないままに、『オンデマンドで再生回数が増えるような作りにしろ』と言ってくるんです。録画視聴率を上げろ、CMスキップ率を下げろと、それだけでも混乱しているのに」
近年、ドラマが公式ツイッターやインスタグラムを開設することは当たり前になり、そこでは日々、出演者のオフショットや撮影秘話がスタッフによってアップされている。