この秋、注目を集める2人の俳優がいる。1人は恋愛ドラマで新境地を見せているムロツヨシ。そしてもう1人はクイズ番組のMCに起用された佐藤二朗だ。福田雄一監督の作品でたびたび共演してきた2人は、この秋、これまでのイメージとは違う役割で抜擢された。その背景についてコラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する
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ムロツヨシさん、佐藤二朗さんと言えば、アドリブを交えたコミカルな演技のイメージが強いのではないでしょうか。実際、今秋でもドラマ『今日から俺は!!』(日本テレビ系)で、ムロさんは金八先生を思わせるお調子者の教師、二朗さんは娘を溺愛する奇妙な道場主を演じるなど、笑いのパートを任されています。
ムロさんと二朗さんは同作をはじめ、福田雄一さんが脚本・演出を手掛ける大半の作品で共演してきた盟友。主な作品だけでも、ドラマでは『33分探偵』(フジテレビ系)、『勇者ヨシヒコ』シリーズ(テレビ東京系)、『アオイホノオ』(テレビ東京系)、『ニーチェ先生』(日本テレビ系)、『スーパーサラリーマン左江内氏』(日本テレビ系)、映画では『女子ーズ』『明烏』『銀魂』『斉木楠雄のΨ難』『50回目のファーストキス』などがあります。
その2人が今秋、イメージとは異なる新たな挑戦を見せ、話題を集めているのです。
◆笑いのイメージを最大活用したキャスティング
ムロさんはラブストーリーの『大恋愛~僕を忘れる君と』(TBS系)でヒロインを演じる戸田恵梨香さんの相手役に挑戦。一方、二朗さんは新番組のクイズバラエティー『99人の壁』(フジテレビ系)で100人の出演者を束ねるMCに挑戦しています。ともに40代で実績十分の2人は、なぜイメージとは異なるオファーを受けたのでしょうか。
最大の起用理由は、視聴者がイメージできない新鮮な姿を見せられること。
ムロさん自身、オファーを受けたとき「何かの間違いでは?と思った」と語っていますし、1話では「ムロさんが美女の戸田さんからグイグイ迫られる」という意外な展開がありました。さらに中盤以降も、「難病のヒロインを支える強い男性になっていく」という流れが予想されていますが、どれも視聴者にとっては新鮮な姿です。
二朗さんの起用理由も同様。企画・演出の千葉悠矢さんが、「バラエティー初MCの人がいい」「どんなふうに振る舞うのか、想像がつかないからドキドキする」とコメントしていたように、「こんな佐藤二朗、初めて見た」という新鮮さを狙っている様子がうかがえます。
また、福田作品で見せるコメディのイメージを生かしたキャスティングであるのも事実。『大恋愛』は難病に苦しみ、闘うヒロインの姿を描く作品であり、深刻になりすぎないように明るく支えられるムロさんのようなキャラクターが必要です。『99人の壁』は出演者のほとんどが一般人であり、子供もいるだけに、緊張せずに向き合えるMCが必要。その点、コメディで脱力感と親近感のある二朗さんは最適なのです。
◆助演俳優をフィーチャーする流れが定着