マンションの住人間によるトラブルがあちこちで起きている──。10月には神戸市内のマンションで6年にもわたって同じマンション住人に誹謗中傷を繰り返したとして、46歳の女性が逮捕されたばかりだ。住宅ジャーナリストの榊淳司氏が、手に負えない“モンスター住人”たちの困った実態をレポートする。
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人間の集団というものは様々な揉め事が起こる。それはマンションとて同じだ。
会社や学校などでは組織の存在目的がはっきりしている。さらに責任の所在も明解で、上下関係も定められている。法律を持ち出さずともよい程度の揉め事は、組織の内部で解決が図られる。簡単に言えば、上に立つ者が解決策を示して、下の人々がそれに従う。
しかし、マンションの場合は会社や学校とは組織の成り立ちが違う。基本は1住戸1票の民主主義。だから市区町村に近いのだ。
それだけに、揉め事の解決方法がやや複雑だ。会社や学校なら、揉め事を起こした張本人を場合によっては解雇や退学処分にできるという最終的な解決手段がある。マンションの管理組合にも「競売申立」という手段があるにはあるが、それはよほどの場合だ。さらに、訴訟の判決を取らなければならないから、手続きに時間もお金もかかる。
マンションの場合、揉め事の張本人となる“モンスター住人”は2種類に分かれる。理事会側と一般区分所有者側だ。
区分所有者側が起こす揉め事は「多彩」だ。川崎市のあるタワーマンションでは、上層階のバルコニーから2リットル入りのペットボトルが度々落とされる事件が起きた。たまさか大事には至らなかったが、地上の人に当たればただのケガでは済まなかったかもしれない。
この事件は、後に犯人が突き止められた。一流私大の学生。ストレス発散でモノをバルコニーの外に放り投げていたらしい。