学園ドラマはテレビに欠かせないコンテンツとなっている。その元祖は1965~1966年に大ヒットした『青春とはなんだ』(日本テレビ系)だ。同作に端を発した日本テレビの“青春シリーズ”は、竜雷太主演の『これが青春だ』『でっかい青春』、村野武範主演の『飛び出せ!青春』、中村雅俊主演の『われら青春!』など次々とヒット作を生んでいく。日本テレビでこれらのプロデューサーを務めた岡田晋吉氏が語る。
「どのドラマも男子はヤンチャで、女子は優等生という設定でした。女教師は潔癖で、頭が良くて『ダメね!』と男を嗜めている。男の主演教師には新人を使うので、女教師はベテランに任せて、芝居の上でも先生になってもらおうと考えていました」
話の内容は変わっても、キャラクター設定は同じため、視聴者は安心して新ドラマを観ることができた。
娯楽の王様が映画からテレビに移行しつつあった1960年代から1970年代にかけて、学園ドラマでの女優にはこんな傾向も見られた。映画監督の樋口尚文氏が話す。
「先生役には藤山陽子や島田陽子、酒井和歌子という映画スターがテレビに借り出されたため、圧倒的な美しさを持った女優がマドンナ先生として出演していた。一方、生徒役からは岡田可愛や松本めぐみなど、近所にいそうなかわいい人気者がテレビから生まれた。初期は“銀幕スター”と“テレビアイドル”が共存していた」
岡田氏は自ら発掘した新人の他番組出演を認めていなかったが、レコード発売をプロデュース。自身の他ドラマでも起用し、全面的にバックアップした。岡田可愛は『青春とはなんだ』の生徒役から『進め!青春』では保健室の先生役に。視聴者に成長過程を見せた。
「一度使うと、私たちにも親しみが出てくるし、ある程度お互いのことを理解しているから仕事がしやすい面もある。彼らの生活もありますからね」(岡田氏)