2018年10月の月間全日視聴率(関東世帯、6時~24時)でテレビ朝日が単独トップとなった。これにより、日本テレビが2013年12月以来続けてきた、全日帯、ゴールデン帯(19~22時)、プライム帯(19~23時)のすべてでの視聴率トップを意味する「三冠王」の記録が途切れた。三冠王が途切れたことに「やっぱり来たか」という本音を漏らす日テレ関係者は少なくない。
「今年の春くらいから、そろそろヤバいかもしれないという雰囲気はありました」と話すのは、同局関係者だ。
「好調だった『ZIP!』と『スッキリ』ですが、世間の話題の中心が台風や地震、大きな事件や事故などニュース寄りになると、他局に視聴率で負ける傾向は以前からありました。それが、日本大学アメフト部の反則タックル問題と、それに続くパワハラ問題が大きな関心を集めたころから、視聴者はそのときだけ他局の番組を見るという一時的な傾向ではなく、最初からよそを見るようになってしまった」
『ZIP!』は2011年、『スッキリ』は2006年から放送されている朝の情報番組だ。それぞれ同時間帯で視聴率1位にいた時期もあったが、現在は『グッドモーニング』(テレビ朝日系列)や『めざましテレビ』(フジテレビ系列)、『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系列)や『とくダネ!』(フジテレビ系列)に次ぐ3位の位置が定着しつつある。1位や2位との違いとして、関係者の間でも指摘されていたのが、「ニュースに弱い」ことだ。
「『ZIP!』や『スッキリ』の場合、芸能ニュースや身近なネタを丁寧に伝えるのは得意だけれど、何か事件や事故、天災が発生したとき、とたんに内容が薄くなる。人員の問題もあって、発生からすぐ番組独自の取材に取りかかりづらいから、放送ではニュース番組用に編集された素材を流して当たり障りのないコメントをスタジオで加えるだけになることも少なくない。積極的に現地取材へ行って独自の特集を組む他局と比べると物足りないから、なんとなく新情報が欲しくてザッピングしている視聴者が離れてしまう」(前出の関係者)
かつては、事件や事故などのニュース取材のために、日本テレビでもワイドショー独自の取材チームを複数つくっていた。しかし現在では、事実上、阿部祐二レポーターのチームだけが対応できる状態だそうだ。人員不足が原因であることは承知しているが、いきなり人を増やすこともできない。代わりに試みているのは、部局の壁を超えた連携だ。