10月29日、厚生労働省は、沖縄と三重がインフルエンザの流行期に入ったと発表した。全国の保育所、幼稚園、小学校などの休業施設数はいずれも前週より増加し、早くも大流行の兆しがみられる。
インフルエンザは高齢者が罹患すると死亡率が高い。そのため、国や自治体は補助制度を設けて65歳以上の予防接種を呼びかけるなどしている。
そうしたなかで注目を集めているのが、今年3月に発売された新薬「ゾフルーザ」だ。昨シーズンの終盤に販売開始されたゾフルーザは、発売からわずか2週間で40万人に処方された。本格的な流行シーズンを通して処方されるのは、今回が初めてとなる。
タミフル、リレンザ、イナビルといった従来のインフルエンザ治療薬とゾフルーザが大きく異なるのは、薬が効くメカニズム(作用機序)だ。
鼻やのどの粘膜に入り込んだインフルエンザウイルスはそこで増殖した後、細胞の外に出て周りの細胞にまで広がる。従来の薬は、増殖したウイルスが細胞の外に出ていこうとする動きを阻んでいた。
「一方のゾフルーザは、細胞内でウイルスが増殖すること自体を抑えます。従来の薬より早い段階でウイルスに作用することが、早いウイルス減少効果につながっていると考えられます」(ゾフルーザの製造販売元である塩野義製薬広報部)
インフルエンザの患者約1440人に行なった臨床試験で、ウイルスが体内から消えるまでの時間を比べたところ、タミフルの72時間後に対し、ゾフルーザは24時間後だった。