大都市の中心部や東京都区部などで新築マンションの価格が高騰を続けている。不動産市場はまさに“ミニバブル”状態となっているが、一方で「空き家問題」が深刻度合いを増している。「2025年には、都市部にも大量の廃墟マンションが出現する」と予測するのは、近著に『100年マンション』(日経プレミアシリーズ)がある不動産コンサルタントの長嶋修氏だ。その根拠とは?
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「2025年、都市部に大量の廃墟マンションが出現する」──。これは何も誇張しているわけではなく、確実にやってくる未来の話です。
日本でマンションが多く売られるようになったのは1970年代前半から。主に都市部や都市郊外に立地するこうしたマンションは、およそ築50年に達します。国土交通省によれば、2017年時点で築50年のマンションは全国に5.5万戸。これが2025年には30万戸を超えます。
こうしたマンションのうち、都心部の一等立地にあるようなものはおそらく生き残れます。購入や賃貸といった需要は絶えないうえ、高額物件であるがゆえに、建物をメンテナンスする「修繕積立金」の工面にも困らないケースが多いためです。事実都心部では、築50年前後のマンションでも数億円などの高額で取引が行われています。
これから厳しくなりそうなのは、都市郊外のベッドタウンなどに位置する、バス便などのマンションです。中には廃墟化するものも出てくるでしょう。
昨今は持ち家でも賃貸でも、駅から求められる距離は「7分」。2017年の新築マンション販売現場を調べると、徒歩7分までの現場は販売好調が支配的であるのに対し、8分を超えると途端に販売不調の現場割合が増加しました。こうしたことを受けて複数の新築マンション用地仕入れ担当者の中には「徒歩7分以内の用地しか仕入れない」としているところもあります。
また、とある物件検索サイトでは、数年前までは「徒歩10分以内」で賃貸住宅を探す人が過半であったところ、昨今では「徒歩7分以内」が過半になっているとのことです。昨年の地価公示では、住宅地の下落率全国ナンバーワンは「千葉県柏市」のとあるバス便住宅地でした。1980年代に分譲開始されたころには高級分譲地として人気でしたが、バス便であるがゆえにニーズがないのです。