「日韓国交正常化から53年間、さまざまなことがあった日韓関係で“そこだけは遵守されてきた”という一線が一気に覆ってしまった。韓国には『泣く子は餅を貰える』とか『泣かない子にはお乳はあげない』といったことわざがある。それに対してこれまで付き合ってあげていたのが日本ですが、今回ばかりは“やり過ぎだよ”と堪忍袋の緒が切れても仕方ない。私自身、おかしいと言わざるを得ません」
そう語るのは、ベストセラー『ソウルの達人』などの著作で知られる女優の黒田福美氏だ。2011年に韓国政府から友好親善の功績で勲章を授与された“親韓派”をも失望させたのが、今回の徴用工判決だった。
「日本の朝鮮半島統治時代、強制労働させられた」と主張する韓国人元徴用工4人が新日鐵住金を相手に損害賠償を求めていた裁判で、日本の最高裁に当たる韓国大法院は被告である新日鐵住金の上告を棄却。1人あたり1億ウォン(約1000万円)の支払いを命じる判決が確定した。
それを受けた日本側の対応は迅速かつ厳しいものだった。河野太郎外相は判決が出るとすぐさま韓国の李洙勲駐日大使を呼び出し、激しい口調で抗議。その際、目も合わせず握手もしなかったという。
判決を伝える日本の新聞・テレビも、軒並み韓国批判を展開した。従軍慰安婦や竹島、歴史教科書問題などでは主張が対立することの多い日本の新聞各紙も、珍しく歩調を揃えた。日本の世論に見られる「親韓」「嫌韓」といった既存の韓国観では、もはや語り得ない事態が進行しようとしているのだ。
※週刊ポスト2018年11月23日号