社会生活を円滑に営む上で「ルール」の存在は必要不可欠だ。ところが、ルールはあくまで手段であって目的ではないはずなのに、ネットではしばしば、ルールなのだからという理由だけでその順守を厳しく求める傾向が見られる。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が、なぜネット民はルールの順守を重視するのかについて考えた。
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ジャーナリスト・安田純平氏が帰国し、会見で「自己責任」「自業自得」と発言したことによりバッシングは収まった感もある。この件を受け、ネットにおけるバッシングについて取材を受けたが、その際記者から聞かれたのが、「なぜ、ネットの人々は『公(おおやけ)』を尊重し、『ルール』の順守をここまで重視するのか」だ。
記者の意図としては、両方を重視することは重要だが、そこから外れた者が猛烈に叩かれるのはなぜか、ということだろう。安田氏をめぐる「公」といえば、政府や外務省の人間も動かしていただけに、そこには税金が投下されている、ということ。「ルール」については、外務省がシリアを渡航禁止国に指定していたことにある。そこから「ルールを破る人間に税金を投入して助ける必要はない」というのが自己責任論の正当性につながり、バッシングが当然という流れになる。
ネットで誰かを叩く人間については、「日常生活の不満の解消手段としてネットに悪口を書きまくる」という説が昔からある。ただ、これは違う。何らかのバッシングをしている者は義憤からやっていることもあるのだ。安田氏についても「彼を英雄視してしまえば、同じようなことをやる人間が出てしまう」といった懸念から叩いている人間もいるはずだ。
そして、安田氏ほどの大規模な叩きではないが、「ルール」の順守についてプチ炎上ともいう騒動が発生した。タレントの熊田曜子が、児童館に5歳、3歳、4か月の子供達を連れて行ったことをブログで報告。この施設は遊ぶ時間と人数制限があるため事前にチケットを申請する必要がある。職員からは、大人1名につき、子供2名までだと入館を断られた。熊田は4か月の子はずっと抱っこし、上の子はその状態で見ると言ったところ別の職員が来て「ダメです」と言われたという内容だ。