韓国人元徴用工4人が新日鐵住金を相手に損害賠償を求めていた裁判で、1人あたり1億ウォン(約1000万円)の支払いを命じる判決が確定した問題。どんなに韓国の司法が理不尽だとしても、“被告”となった企業は何らかの対応を取らざるを得ない。賠償金支払いを命じられた新日鐵住金では、宮本勝弘副社長が決算会見(11月2日)でこう語っている。
「判決は日韓両国間の請求権問題が『完全かつ最終的に解決された』ことを確認した日韓請求権協定や日本政府の見解に反しており、きわめて遺憾です。(今後は)日本政府の対応を踏まえて対応する」
しかし、いかに理不尽であろうと、判決が確定した以上、日本企業は無視を決めこむことはできない。
原告側弁護士は判決前、日本企業への賠償命令が確定しても支払いに応じない場合、「ただちに資産差し押さえ請求の手続きを取る」と語っていた。申し立てが行なわれれば韓国大法院は新日鐵住金が韓国内に持つ売掛債権などを差し押さえる強制執行を認めると見るべきだ。
新日鐵住金の賠償金は約4000万円(4人分)だ。同社からすれば“痛くはない金額”とも思えるが、賠償金を支払うリスクはそれ以上に大きい。