モノの「所有」から「共有」を目的としたシェアリング・サービスが世界中で活況を呈しつつあるが、その代表格がクルマや自転車などの移動手段だろう。フランス・パリの街中では“電動キックボード”が行き交っているというが、果たして日本でもこうしたモビリティ社会が当たり前の光景になるのか。モータージャーナリストの鈴木ケンイチ氏がレポートする。
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今年10月に開かれたパリモーターショーを取材するためにフランスを訪れました。パリのモーターショーは隔年開催なので、個人的には2年ぶりとなる訪仏です。
今回のショーは、開催120周年を祝うものでありましたが、皮肉にも不参加メーカーが続出。“新型車はモーターショーで世界へお披露目する”という、これまでの手法が廃れゆく──そんな変化の見られるショーとなりました。時代の移り変わりを目撃した心境です。
しかし、そんな中でもメルセデスベンツは旧来のスタンスを維持。新しいコンセプトカーや新型モデルを数多く持ち込み、ショーを大いに盛り上げてくれました。
そんなメルセデスベンツの発表のひとつが「EV化されたスマートを使ってパリでカーシェアリング・ビジネスを行う」というものでした。すでに欧州のあちこちの都市で実施されている『Car 2 go』というカーシェアリング・サービスをパリでも2019年から開始しようというのです。メルセデスベンツは「パリは規模など、さまざまな点からカーシェアに向いている」とも言います。
そう言われてみれば、パリの中心街は、日本でいうところの山手線内ほどのサイズ。日本のようなビルド&スクラップではなく古い建物を大切にしているので空き地があまりなく、駐車場も少ないために基本が路上駐車。クルマを所持して使いまわすのは、正直、不便そうです。
そういう意味でシェアリング・サービスのニーズは高い街と言えるでしょう。そして、実際に街中のあちこちで、シェア用の自転車を目にすることができます。さらにウーバーといったライドシェアも利用可能です。
また、2011年からは電気自動車のカーシェア・サービス「オートリブ」もスタートしていました。ただし、「オートリブ」は自転車などのライバルのシェアサービスに負けてしまい、2018年に撤退となっています。それだけパリはシェアリング・サービスが盛んで、しかも競争が激しいと言っていいでしょう。来年には、メルセデスベンツのサービスも始まりますから、競争の厳しさは、さらに増すのではないでしょうか。
そんなシェアリングの激戦地パリで、新しいサービスを目にしました。「電動キックボード」のシェアリングです。