大阪の専門学校で起きた「外国人留学生300人超退学事件」。なぜ、大量の留学生が「退学」させられたのか。長年、日本における外国人留学生問題を取材するジャーナリストの出井康博氏は、この一件の背後にある「深い闇」の存在を指摘する。
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今年9月、大阪市の専門学校「日中文化芸術専門学校」で300人以上の留学生が退学となっていたことが発覚し、新聞などで大きく報じられた。同校は定員を大幅に超える留学生を受け入れた後、管轄の大阪府などから是正を求められ、一部の留学生を退学にしていた。退学となった留学生のうち7人のベトナム人は、同校理事長らに損害賠償を求める訴えを起こしている。
なぜ、「日中」を名乗る専門学校に多くのベトナム人留学生が在籍し、定員超過の末に退学という事態が起きたのか。実は今回の一件の背後には、急増著しい留学生の受け入れをめぐる深い「闇」が存在している。
独立行政法人「日本学生支援機構」によれば、専門学校に在籍する留学生の数は2017年度には5万8711人と、5年間で3万人以上も増えている。そして『読売新聞』の調査(10月8日朝刊掲載)で、留学生の割合が9割以上という専門学校が全国で少なくとも72校、学生全員が留学生という学校も35校あることが判明した。日中文化芸術専門学校も9割以上が留学生だった。首都圏の日本語学校経営者はこう話す。
「日本人の学生が集まらない専門学校が、経営維持のため留学生の受け入れに走っているのです。うちの日本語学校にも(生徒の卒業後の進路として)全国の専門学校から“営業”がある。日本語が全くできなくても留学生を入学させる専門学校はいくらでもあります」