「のびのび野球で立て直す」と就任会見で語った巨人・原監督。これまでの若手育成方針をひっくり返す大ベテラン阿部慎之助の捕手復帰に加え、FAで西武の炭谷銀仁朗(31)まで狙うという。ソフトバンクのヘッドコーチとして、甲斐拓也(26)をマンツーマン指導で育て上げ今年の日本一を花道に勇退したばかりの球界きっての“教え上手”達川光男氏(63)が、ソフトバンクの成功から巨人の課題を見出す。
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大先輩の江夏豊さんが「守りの要の捕手にスポットが当たった今年の日本シリーズはよかった。コミッショナーにMVPだな」と言っていました。甲斐がMVPをもらったことで、育成選手にもスポットが当たってよかったと思う。過去には育成ではプロ入りしたくないというドラフト指名選手がいたが、プロの世界に入った以上はドラフト1位も育成6位も同じスタートラインだと甲斐が証明してくれました。
甲斐をはじめ、ソフトバンクでは育成出身の選手が巣立っている。彼らに共通しているのは体が丈夫で悔しさをバネに練習ができること。これは一芸に秀でた選手を見つけたスカウトの功績でもあると思う。甲斐の場合は図抜けた肩をしていた。それだけだったんです。背は低いし(170センチ)、打撃も非力。ただ足腰がしっかりして肩も強かったということで、福山(龍太郎)スカウトが見つけて育成で獲った。
ソフトバンクのスカウトは広島に似ていますね。広島も一芸に秀でた選手に注目する。私は1977年ドラフト4位で指名してもらったが、肩には自信があったものの、試合でコンタクトを落としたこともあるように目は悪いし、打撃も非力。それでも甲子園で準優勝したことで何か持っているのではないかと指名してもらった。
ソフトバンクもハンカチ王子(日ハム・斎藤佑樹、30)が注目された2010年ドラフトで千賀(滉大、25)を育成4位、甲斐を育成6位で指名した。甲斐は日本シリーズでMVPを獲ったけど、原石を見つけてきたスカウトが陰のMVPです。