「かつて、マツダのクルマは“一発屋”と形容されていましたが、『CX-5』以降は全車種の商品力を上げ、継続的に進化させてきました。今回、マツダというブランドを、より一段と高めていきたいという決意をロサンゼルスでお話しし、現地で約束してきます」
こう語るのは、マツダの丸本明社長。“今回”とは、11月30日から開催される、ロサンゼルス自動車ショーのこと。同ショーで新型「Mazda3」(日本名は「アクセラ」)を世界初公開する。
そして、ロスでMazda3(新型アクセラ)をお披露目して以降、マツダのクルマは様々な走行シーンで意のままの加減速を可能にする最新の「SKYACTIVエンジン」を搭載し、より深化させた「魂動デザイン」に順次、切り替えていくという。
新エンジンのSKYACTIV-Xは、いわばガソリンとディーゼルのいいとこ取りと言われ、大幅に燃費が向上している一方、2000ccエンジンでありながら現行の2500ccエンジンを上回る走りを備え、トルクもたっぷりあるらしい。そこに、新しい魂動デザインをまとって登場する新型アクセラは、来春には日本にもお目見えし、価格も一段、アップすることが見込まれる。
だが、この価格政策という点で、マツダには過去、苦い経験がある。丸本氏も自戒を込めてこう語っていた。
「絶対に忘れてはいけないのは、国内市場ではかつて“マツダ地獄”という負のサイクルがあったこと」
マツダ地獄とは、新車販売時に大幅値引きすることで中古になった時の下取り価格も大幅に安くなり、結局、ユーザーはマツダ車にずっと乗り続けなくてはいけなくなることを指す。
愛着をもって長く愛車に乗り続ける人は別にして、将来の買い替えを考えたうえでクルマを購入する人は、一度マツダ車を買ってしまうと身動きが取れなくなる。メーカーであるマツダにとっても、これではいつまでたってもブランド力は上がらないというわけだ。