現在放送中のドラマ『黄昏流星群』(フジテレビ系)が、「ドロドロすぎる!」と話題になっている。
物語は、出世頭とみられていた銀行マンが一転、出向を命じられ、旅先のスイスである女性と出会い、恋に落ちてしまう姿を描いた不倫もの。
主人公の銀行マンだけでなく、その妻や娘までが不倫をしていて、お互いが不倫現場で鉢合わせするなど、驚きの展開が続いている。
原作は『島耕作』シリーズの弘兼憲史さんが手掛けた同名マンガだ。ドラマにハマる都内在住の渡辺美希さん(仮名・54才)は話す。
「ドラマを見てたら、原作を読みたくなっちゃって。自分では味わえないからこそ、マンガで不倫のジェットコースター気分を味わいたいんですよね」
『黄昏流星群』以外にも、今、不倫マンガは王道ものから変わり種まで話題作がいっぱい。女子マンガ研究家の小田真琴さんは、不倫マンガが増えた理由を話す。
「2010年に連載がスタートし、ドラマにもなった『あなたのことはそれほど』(あなそれ)(祥伝社)がきっかけ。W不倫をテーマにし、登場人物の誰にも感情移入できず、全員気持ち悪いという本格不倫マンガだったので、“不倫ものって面白い”と認識されました」
電子書籍が普及し、家族に何を読んでいるのかバレなくなったことも大きい。現在ブームになっている作品には、不倫+エロスを描いたものもある。『金魚妻』(集英社)は、1話完結で妻がさまざまなシチュエーションで不倫・セックスをする様子が描かれている。
このように不倫+αの要素がある作品が目立つのが昨今の不倫ものの特徴だ。
『ただ離婚してないだけ』(白泉社)は、不倫相手を妊娠させてしまった夫が主人公。不倫相手が妊娠・中絶をきっかけに夫を恨み、家に押しかけ、もみ合ううちに夫婦が共同し、その不倫相手を殺害してしまったところから始まる。
「夫がしてしまった不倫が殺人にまで行き着き、家庭が一気に壊れていく様子が緻密に描かれているのが怖くて続きが気になる」(40才・デザイナー)
ドロドロ不倫×ハラハラドキドキのサスペンスが味わえる。
『東京ラブストーリー』の柴門ふみさんが描く『恋する母たち』は、東京の名門校に通う息子の母親たちの恋の物語だ。なかでも、パート勤務の杏は一見、母子家庭だが、実は駆け落ちをして行方不明になってしまった夫がいる。彼とは離婚しておらず、夫の駆け落ち相手の夫とのW不倫の過去もある。女性カルチャーに詳しいライターの西森路代さんが話す。
「『あすなろ白書』や『同・級・生』など、群像劇が得意な柴門さんだけに、キャリアウーマン、専業主婦、パート主婦といった環境の違う母たちのそれぞれの恋を描いた不倫群像劇になっています」
◆自分自身にも身に覚えがあるので共感できる
『あげくの果てのカノン』(小学館)は、不倫×SFという、これまでになかった発想の作品だ。舞台は「ゼリー」と呼ばれる地球外生命体に侵略された近未来の日本。その「ゼリー」と戦う戦闘員で既婚者の宗介と、彼を高校時代から慕う後輩のかのんとの不倫を描いている。