芸能

三田佳子が128万部のベストセラーを舞台化するまで

朗読劇『九十歳。何がめでたい』で作家・佐藤愛子さんを演じる三田佳子(撮影/黒石あみ)

「この世の中は、負けるとわかっていても、戦わなきゃならん時がある。たとえ殴られ蹴られ、殺されても、逃げちゃならん」

『九十歳。何がめでたい』が朗読劇の舞台になる。ベストセラー・エッセイを朗読するだけでなく、みずから舞台化を企画した三田佳子さんが作家の「佐藤愛子」となって、タクシー運転手とスマホをめぐってやりとりしたり、強面の金貸しと対峙する、白熱した場面もある。

 128万部を突破する昨年最大のベストセラー『九十歳。何がめでたい』がこのたび、朗読劇になった。先日95才になった著者・佐藤愛子さんを演じるのは、77才の女優・三田佳子さん。実は佐藤さんを口説き落とし、演出を石井ふく子さんに頼み、今回の舞台を実現させたのは他ならぬ三田さんだ。「先生の生き方は私のあこがれで、50年前からずっと演じてみたかったんです」と言う三田さんが、佐藤さんと本書の魅力を語り尽くした。

 * * *
 愛子先生の世界に惚れ込んでいます。『九十歳。何がめでたい』も、発売されてすぐに読みました。いまはビジュアルの時代といわれますけど、愛子先生は文字だけで声を出すほど笑わせ、泣かせてくれる。すごいことです。

 怒って、笑って。先生の人生に心地よいリズムがあるんでしょうね。怒りながらも温かくってね。だからこそ、誰にでも伝わるものがあるし、老若男女が飛びつく大ベストセラーになったんでしょうね。私なんて、増刷されて帯が変わるとまた買ったりして、何冊も手元にあります。

 何より、『九十歳。何がめでたい』というタイトルがすばらしいんですよね。90才ですよ! 自分のエッセイ集にこんなに堂々と「九十歳」とうたう、そのすてきさ。私は、先生から見れば若干…。いえ、若干どころではなく70代ですけど(笑い)。70代といっても、もう半ばすぎですから、ここを逃すと、これから活気のある舞台をやるのは難しくなってくるかもしれない。

「いまだ!」と思って、先生に「舞台にさせてください」とお電話したんです。そうしたら先生は、「あなた、これは小説とは違うから舞台にするのは難しいわよ」って。

 私ね、はじめから、演出は石井ふく子先生にお願いしたいと思っていて。ふく子先生は、愛子先生より少し年下ですけど、やはり90代の現役です。「何がめでたい」と言い切る愛子先生の迫力と、90才で生きることを生身で知ってらっしゃるふく子先生の迫力、おふたりの力が合わさったものを、ぜひ形にしたいと思ったんです。

関連キーワード

関連記事

トピックス

『傷だらけの天使』出演当時を振り返る水谷豊
【放送から50年】水谷豊が語る『傷だらけの天使』 リーゼントにこだわった理由と独特の口調「アニキ~」の原点
週刊ポスト
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
《英国史上最悪のレイプ犯の衝撃》中国人留学生容疑者の素顔と卑劣な犯行手口「アプリで自室に呼び危険な薬を酒に混ぜ…」「“性犯罪 の記念品”を所持」 
NEWSポストセブン
原監督も心配する中居正広(写真は2021年)
「落ち着くことはないでしょ」中居正広氏の実兄が現在の心境を吐露「全く連絡取っていない」「そっとしておくのも優しさ」
NEWSポストセブン
フジテレビの第三者委員会からヒアリングの打診があった石橋貴明
《離婚後も“石橋姓”名乗る鈴木保奈美の沈黙》セクハラ騒動の石橋貴明と“スープも冷めない距離”で生活する元夫婦の関係「何とかなるさっていう人でいたい」
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
〈山口組分裂抗争終結〉「体調が悪かろうが這ってでも来い」直参組長への“異例の招集状” 司忍組長を悩ます「七代目体制」
NEWSポストセブン
休養を発表した中居正広
【独自】「ありえないよ…」中居正広氏の実兄が激白した“性暴力認定”への思い「母親が電話しても連絡が返ってこない」
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(時事通信フォト)
「うなぎパイ渡せた!」悠仁さまに筑波大の学生らが“地元銘菓を渡すブーム”…実際に手渡された食品はどうなる
NEWSポストセブン
新年度も順調に仕事を増やし続けている森香澄
《各方面から引っ張りだこ》森香澄、“あざとかわいい”だけじゃない「実はすごいアナウンス力」、「SNSの使い方はピカイチ」
NEWSポストセブン
4月7日、天皇皇后両陛下は硫黄島へと出発された(撮影/JMPA)
雅子さま、大阪・沖縄・広島・長崎・モンゴルへのご公務で多忙な日々が続く 重大な懸念事項は、硫黄島訪問の強行日程の影響
女性セブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(左/時事通信フォト)
広末涼子の父親「話すことはありません…」 ふるさと・高知の地元住民からも落胆の声「朝ドラ『あんぱん』に水を差された」
NEWSポストセブン
SNSで出回る“セルフレジに硬貨を大量投入”動画(写真/イメージマート)
《コンビニ・イオン・スシローなどで撮影》セルフレジに“硬貨を大量投入”動画がSNSで出回る 悪ふざけなら「偽計業務妨害罪に該当する可能性がある」と弁護士が指摘 
NEWSポストセブン
都内にある広末涼子容疑者の自宅に、静岡県警の家宅捜査が入った
《ガサ入れでミカン箱大の押収品》広末涼子の同乗マネが重傷で捜索令状は「危険運転致傷」容疑…「懲役12年以下」の重い罰則も 広末は事故前に“多くの処方薬を服用”と発信
NEWSポストセブン