芸能

朝ドラ『まんぷく』の桐谷健太 流れるような大阪弁ではまり役

『まんぷく』の視聴率は好調(完成試写会)

 好調な作品は脇の役者まで光るのが常。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。

 * * *
 NHK連続テレビ小説『まんぷく』もスタートして1ヶ月半。視聴率は20%の大台が続き安定飛行中のもようです。

 物語は──敗戦で混乱した世の中。新しい仕事「たちばな塩業」を立ち上げた夫婦・福子(安藤サクラ)と夫・萬平(長谷川博己)の苦闘ぶりが描かれています。慣れない塩作りの苦労。品質はなかなか上がらず、人手を集めたはいいが思うように生産量も伸びず、十分な給与を払えず。不満をつのらせる従業員、人を使う苦労は想像以上と苦悩する萬平。

 そこへ現れたのが、世良勝夫(桐谷健太)。萬平は友達として世良に塩の販売を任せた。だがどこか怪しい。売り上げをピンハネしている気配。世良は萬平を利用して一人で金儲けしようと企んでいるのか、それとも自分なりの販売路を開拓しようと躍起なのか? 

 これまで世良の行動は結果として立花夫婦に刺激を与えてきたけれど、今後も新局面を拓いていく力として必要不可欠となる相棒なのか? 「友達なの、それとも詐欺師なの、どっちなの?」と視聴者としてはやきもき。とにかく回を増すごとに、強い印象を残していく世良さんなのです。

 演じている桐谷健太さんはドンピシャのはまり役。ご自身も大阪のど真ん中・天神橋の出身だけに、生粋の大阪弁は流れるよう。加えて、浪速の「商魂」も絶妙に演じて見せてくれます。押したり引いたり、ああ言えばこう言う。人なつっこく、ふっと隙を見せ相手の懐に深く入りこむ。人あたりの良い三枚目のようでいて、実は眼光鋭く世の動きを把握し、商売を算段する超リアリスト。「一緒にラーメンをすすった仲」という意味ではたしかに友達。ですが、実は世良が最も惚れ込んでいるのは萬平の才能かも。そこに「商機」を見出そうとしているのかもしれません。

 こっそり塩を闇市に流し売り上げを懐に入れるという、狡っ辛さが気になる。しかし、世良は単なる小悪党ではないはず。かつて世良が吐いた、あの名セリフがそれを示しています。

「戦死した人間と無事で帰ってきた人間。抑留された人間と帰国できた人間。飢えてる人間とたらふく食うてる人間。不公平が当たり前やのに、それを文句言うてる時点であかんのです」

 実に「うがったセリフ」。戦死した人と生きて帰ってきた人──立場の違う複数の人生が、世良の目には映っている。世の中を俯瞰し、複眼的に分析し生きるための冷徹な判断もできる人。という意味で、技術屋一直線で物事を純粋に突き詰めていく「単眼的」な萬平とは、好対照です。つまり世良と萬平、まったく異質の二人がセットとなって展開していくからこそ、この物語は屈強であり深味が出てくるのでしょう。

関連記事

トピックス

違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
《美女をあてがうスカウトの“恐ろしい手練手管”》有名国立大学に通う小西木菜容疑者(21)が“薬物漬けパーティー”に堕ちるまで〈レーサム創業者・田中剛容疑者、奥本美穂容疑者と逮捕〉
NEWSポストセブン
キャンパスライフを楽しむ悠仁さま(時事通信フォト)
悠仁さま、筑波大学で“バドミントンサークルに加入”情報、100人以上所属の大規模なサークルか 「皇室といえばテニス」のイメージが強いなか「異なる競技を自ら選ばれたそうです」と宮内庁担当記者
週刊ポスト
前田健太と早穂夫人(共同通信社)
《私は帰国することになりました》前田健太投手が米国残留を決断…別居中の元女子アナ妻がインスタで明かしていた「夫婦関係」
NEWSポストセブン
復興状況を視察されるため、石川県をご訪問(2025年5月18日、撮影/JMPA)
《初の被災地ご訪問》天皇皇后両陛下を見て育った愛子さまが受け継がれた「被災地に心を寄せ続ける」  上皇ご夫妻から続く“膝をつきながら励ます姿”
NEWSポストセブン
子役としても活躍する長男・崇徳くんとの2ショット(事務所提供)
《山田まりやが明かした別居の真相》「紙切れの契約に縛られず、もっと自由でいられるようになるべき」40代で決断した“円満別居”、始めた「シングルマザー支援事業」
NEWSポストセブン
武蔵野陵を参拝された佳子さま(2025年5月、東京・八王子市。撮影/JMPA)
《ブラジルご訪問を前に》佳子さまが武蔵野陵をグレードレスでご参拝 「旅立ち」や「節目」に寄り添ってきた一着をお召しに 
NEWSポストセブン
1990年代にグラビアアイドルとしてデビューし、タレント・山田まりや(事務所提供)
《山田まりやが明かした夫との別居》「息子のために、パパとママがお互い前向きでいられるように…」模索し続ける「新しい家族の形」
NEWSポストセブン
新体操「フェアリージャパン」に何があったのか(時事通信フォト)
《代表選手によるボイコット騒動の真相》新体操「フェアリージャパン」強化本部長がパワハラ指導で厳重注意 男性トレーナーによるセクハラ疑惑も
週刊ポスト
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
【国立大に通う“リケジョ”も逮捕】「薬物入りクリームを塗られ…」小西木菜容疑者(21)が告訴した“驚愕の性パーティー” 〈レーサム創業者・田中剛容疑者、奥本美穂容疑者に続き3人目逮捕〉
NEWSポストセブン
国技館
「溜席の着物美人」が相撲ブームで変わりゆく観戦風景をどう見るか語った 「贔屓力士の応援ではなく、勝った力士への拍手を」「相撲観戦には着物姿が一番相応しい」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
【20歳の女子大生を15時間300万円で…】男1人に美女が複数…「レーサム」元会長の“薬漬けパーティ”の実態 ラグジュアリーホテルに呼び出され「裸になれ」 〈田中剛、奥本美穂両容疑者に続き3人目逮捕〉
NEWSポストセブン
前田亜季と2歳年上の姉・前田愛
《日曜劇場『キャスター』出演》不惑を迎える“元チャイドル”前田亜季が姉・前田愛と「会う度にケンカ」の不仲だった過去
NEWSポストセブン