『家計ノート』著者・細野真宏さん(撮影/矢口和也)


ふくだ:そうそう。みんなそれぞれ、脚フェチだったり、においフェチだったりとかってあるじゃないですか。それが私の場合は、たまたま「毛」だったり「耳かき」だったりするだけの話で、作品自体はすごく普遍的なものをどっちも描いていたりするから、私は割と常識人のほうだと思っていますし(笑)。

細野:確かに「ワキ毛青春アニメ」のほうは、予算が20万円という破格的な安さですが、その予算内でしっかり背景を描いてもらったり録音をしてもらったりと、管理ができていますものね。いつくらいからお金の管理がキチンとできるようになりましたか?

◆お金の管理力が向上する秘訣は●●心だった!

ふくだ:私は高校まで群馬県で大学は石川県に行ったんです。その大学時代は奨学金とバイト代だけで生活してたんですよ。

細野:仕送りなしはスゴイですね。バイトの時給はどのくらいでした?

ふくだ:石川県の金沢の小さなコンビニでバイトをしてるときは、時給650円とかでしたね。

細野:それは厳しそうですね。

ふくだ:はい、とっても。だからバス代50円を浮かせるために、停留所を2つぶん歩いたりとか、本当にそういうことの毎日で。そして、たまたま下の階に住んでる女の子も群馬から金沢に来た子で、境遇も一緒だし、部屋も上下で最初はすごく仲良くしてたんですけど、その子はむちゃくちゃ金持ちの子で…。

細野:むちゃくちゃ金持ちって、どのくらい(笑)?

ふくだ:390円のバス代を払うのが面倒くさいから400円入れてるとか、ご両親が金沢に遊びに来た3日間で、服を段ボール2箱分買ってもらって、15万円使ってもらっちゃったとか言うんですよ。

細野:片道のバス代50円を浮かせるような生活をしている学生には厳しい話ですね。

ふくだ:はい。それでクローゼットには、まだタグのつきっぱなしの服とかがいっぱいあって、もう着ないからあげるよ、みたいな。だんだん耐えられなくなって。もう一人、私と似た境遇の友達がいたので、愚痴を言いまくっていました(笑)。もう、それは「金持ちの友達に対する嫉妬心」なんですけど、やっぱり、そういう裕福なご家庭に生まれるっていうことも幸せだけど、苦労を知らないっていうのは本当に幸せなのかなとか思ったり。

細野:ああ、なるほど。反面教師がそこにいてくれたお陰で、金銭感覚がより磨かれたわけですね。

ふくだ:そうですね、本当に金銭感覚の大事さは実感しましたね。だから家計簿の大切さも、めちゃくちゃ分かっていて、私は大学1年生の時から4年間ずっと家計簿を実際につけていたんですよ。

細野:大学1年生から家計簿をつけていたなんてスゴイですね。嫉妬心はあなどれないですね(笑)。

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