国内

日韓にくすぶる「日王」問題 天皇と王を混在させる韓国

評論家の呉智英氏

 日本と韓国には、様々な未解決の問題が横たわっているが、そのひとつに天皇の呼称論議がある。評論家の呉智英氏が、「王」と「皇帝」の意味の違い、歴史的な変遷について解説する。

 * * *
 韓国の徴用工訴訟の判決には全メディアが一斉に批判的な論評を出した。韓国の異常な反日愛国主義の暴走には誰もが愛想を尽かした感じだ。こうなると、むしろ日本の右派・保守派の過剰反撃に前もって警戒しておかなければならないようにも思える。というのは、以前から「日王」問題がくすぶり続けているからだ。

 これは天皇の呼称論議で、前回(十一月十六日号)の私の担当の時に論じた国名論議にも一脈通じるものがある。

 韓国では政府の正式文書では「天皇」とするが、報道などでは広く「日王」が使われる。天皇は英語ではエンペラー(皇帝)、王ならキングである。つまり、天皇はエンペラーなんて大層なものではなく、ただのキングだ、と格の低い名称で呼んでいるつもりなのだ。それでいて「日帝統治」とも言う。めちゃくちゃである。

 皇帝は、ローマ帝国がそうであるように、宗主国が属領を支配する統治体制の君主である。日本の天皇は由来がこれとは少しちがうが、外国では同類と見ており、それ故エンペラーとされる。

 ところが、こんな例がある。この春に出た平川新『戦国日本と大航海時代』(中公新書)は、秀吉の朝鮮出兵、家康の鎖国などの再解釈を迫る好著だが、こんな記述がある。スペインの宣教師が日本について書いた文書にエンペラドール(皇帝)とあるのは家康で、レイ(王。英語のロイヤルと同系)とあるのは伊達政宗。つまり、日本帝国では大名国王の上に徳川皇帝がいる、と見ているのだ。

 平安末期の『今昔物語』にも我々の常識とはちがう記述がある。本朝の部の最初の巻だけでも、支那へ渡った僧が「日本の国より国王の仰せ」で来たと言っているし(十一の四)、「彼の国(唐)の天皇」(十一の六)という言葉もある。日本の天皇が国王で、支那の皇帝が天皇なのだ。

関連記事

トピックス

大谷が語った「遠征に行きたくない」の真意とは
《真美子さんとのリラックス空間》大谷翔平が「遠征に行きたくない」と語る“自宅の心地よさ”…外食はほとんどせず、自宅で節目に味わっていた「和の味覚」
NEWSポストセブン
歌手・浜崎あゆみ(47)の上海公演が開催直前で突如中止に
《緊迫する日中関係》上海の“浜崎あゆみカフェ”からポスターが撤去されていた…専門家は背景に「習近平への過剰な忖度」の可能性を指摘
NEWSポストセブン
逮捕された村上迦楼羅容疑者(時事通信フォト)
《闇バイト強盗事件・指示役の“素顔”》「不動産で儲かった」湾岸タワマンに住み、地下アイドルの推し活で浪費…“金髪巻き髪ギャル”に夢中
NEWSポストセブン
「武蔵陵墓地」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年12月3日、撮影/JMPA)
《曾祖父母へご報告》グレーのロングドレスで参拝された愛子さま クローバーリーフカラー&Aラインシルエットのジャケットでフェミニンさも
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《約200枚の写真が一斉に》米・エプスタイン事件、未成年少女ら人身売買の“現場資料”を下院監視委員会が公開 「顧客リスト」開示に向けて前進か
NEWSポストセブン
指示役として逮捕された村上迦楼羅容疑者
「腹を蹴れ」「指を折れ」闇バイト主犯格逮捕で明るみに…首都圏18連続強盗事件の“恐怖の犯行実態”〈一回で儲かる仕事 あります〉TikTokフォロワー5万人の“20代主犯格”も
NEWSポストセブン
海外セレブの間では「アスレジャー
というファッションジャンルが流行(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
《広瀬すずのぴったりレギンスも話題に》「アスレジャー」ファッション 世界的に流行でも「不適切」「不快感」とネガティブな反応をする人たちの心理
NEWSポストセブン
遠藤敬・維新国対委員長に公金還流疑惑(時事通信フォト)
《スクープ》“連立のキーマン”維新国対委員長の遠藤敬・首相補佐官が「秘書給与ピンハネ」で税金800万円還流疑惑、元秘書が証言
NEWSポストセブン
2018年、女優・木南晴夏と結婚した玉木宏
《ムキムキの腕で支える子育て》第2子誕生の玉木宏、妻・木南晴夏との休日で見せていた「全力パパ」の顔 ママチャリは自らチョイス
NEWSポストセブン
雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA
《雅子さま、62年の旅日記》「生まれて初めての夏」「海外留学」「スキー場で愛子さまと」「海外公務」「慰霊の旅」…“旅”をキーワードに雅子さまがご覧になった景色をたどる 
女性セブン
ケンダルはこのまま車に乗っているようだ(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
《“ぴったり具合”で校則違反が決まる》オーストラリアの高校が“行き過ぎたアスレジャー”禁止で波紋「嫌なら転校すべき」「こんな服を学校に着ていくなんて」支持する声も 
NEWSポストセブン
24才のお誕生日を迎えられた愛子さま(2025年11月7日、写真/宮内庁提供)
《12月1日に24才のお誕生日》愛子さま、新たな家族「美海(みみ)」のお写真公開 今年8月に保護猫を迎えられて、これで飼い猫は「セブン」との2匹に 
女性セブン