「この番組、エキストラを募集している! 応募したら、あの芸能人に会えるかな?」。そう考えたことがある人は、少なくないだろう。実際、芸能人とお近づきになることはできるのか? ギャラはどれぐらいもらえるの? エキストラ公募情報などを発信するサイト『東京エキストラNOTES』を運営し、自身もエキストラ歴15年目の柳澤健二さん(64才)に、エキストラの裏事情について聞いた。
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エキストラは大きくわけて、2種類あります。1つは、ボランティアのエキストラです。交通費もギャラも出ないことが多くて、「作品に参加できた」「好きな俳優に会えた」「演じる楽しさにはまった」という満足感のために参加する人が多いですね。
もう1つは、事務所に登録しているエキストラです。こちらはギャラが発生します。たいていの仕事内容はボランティアと同じですが、制作側が“こんな人を探している”という容姿や特技などの条件がある場合、まず事務所にオファーします。事務所は、登録情報から条件に合う人を見つけて、連絡したり、登録者への一斉メールで募集をかけたりするわけです。
エキストラの仕事は、なにか特技があると重宝されます。板前などの調理経験がある人、方言ができる人、着付けができる人、楽器ができる人、看護師の資格がある人、あがらずにセリフが言える人…。そうした人はその特技のぶんだけ出演チャンスが増えます。
では、事務所のエキストラのギャラがいくらぐらいかと言いますと…。最近はドラマや映画の制作費削減の影響なのか、ギャラも年々削られていて(苦笑)、1回の出演で3000円台が一般的です。登録している事務所によりますが、半日過ぎてからの時間は、時給700円ほど上乗せしてくれるところもあります。ぼくは10年ぐらい前、1回4000円が基本だった時期に最大20本ぐらいエキストラをした月がありましたが、残業分をあわせても月収10万円程度でした。短めの撮影を1日2本こなしたり、複数の事務所の複数の撮影をかけもちして、めいっぱい頑張っても月収十数万円が限界じゃないでしょうか。
交通費が支給されるかは事務所によってかなり違います。東京の場合、撮影場所が23区内なら支給ゼロ、という条件の事務所も多いです。その場合は、JR山手線を基準として、23区を出た分の交通費が支給されます。
ロケ地での撮影が昼食や夕食をまたぐ場合は、いわゆるロケ弁が支給されます。スタッフや役者さんと同レベルの豪華弁当が出ることもありますし、がっかりするような弁当のときもあります。エキストラが少人数だと、そのためにわざわざ別のお弁当を用意しないので、豪華になる傾向があるかもしれません。人気が高いのはケータリングの業者がその場で盛りつける温かい食事ですね。悲しいケースとしては、夕方までに解散予定の撮影が長引いてしまって夜のお弁当が出ない、ということもあります。
拘束時間はバラバラです。まる1日以上かかることもありますし、ドラマでよくある遺影や家族写真での出演など、カメラマンにパシャッと撮られるだけ、ほんの数分でおしまいということも。それでも1回分のギャラがもらえるのですから、これはおいしい仕事に含まれます。