「脳梗塞」といえば、「ある日突然、意識を失って倒れる」印象を抱くが、実は「繰り返し発症して体を蝕んでいく」ケースのほうが多いという。
今年5月に、63歳という若さで亡くなった西城秀樹さんは、精力的な歌手活動の陰で17年間にわたって脳梗塞と闘っていた。闘病を支えた妻・美紀さん(46)の告白には、脳梗塞の恐さと治療に向き合ううえで大切なことが詰まっている。
◆「舌のもつれ」ほか些細な前兆
「いきなり意識を失って倒れる脳梗塞は、体内の血管でできた血栓が血液にのって運ばれて、脳で詰まったときに起こりますが、これは脳梗塞のなかでは比較的珍しい症状です。
実際に多いのは、『隠れ脳梗塞』。自覚症状がないまま何度も繰り返し発症することで深刻なダメージをもたらします」(くどうちあき脳神経外科クリニックの工藤千秋医師)
隠れ脳梗塞の恐さが克明に綴られた一冊がある。秀樹さんの妻・美紀さんが17年間にわたる闘病生活を記した『蒼い空へ 夫・西城秀樹との18年』だ。
秀樹さんが脳梗塞だと報じられたのは、2003年と2011年の2回だった。だが、著書では、秀樹さんが8回にわたり繰り返し脳梗塞を発症していたこと、その原因が若い頃からの持病だった「糖尿病」にあったことが初めて明かされている。著書にこう綴られている。