都内在住の主婦・三島百合さん(仮名・45才)は、最近まで夫の転勤でアメリカ暮らしをしていた友人を自宅に招き、久しぶりの再会を楽しんでいた。だが、友人の小学生の娘におやつとしてぶどう味のゼリーを出すと、和やかだった友人の顔色がサッと変わった。
「このゼリーって、アメリカでは禁止されている成分が入っていない?」
百合さんは思いがけない言葉に驚いた。ふとわが子を見ると、友人が訝しんだ色鮮やかなゼリーに、満面の笑みでスプーンを刺している──。海外では「リスクがある」として規制されている食品を、日本人の私たちはそうとは知らずに口に運んでいる。
多くの日本人は、「海外産よりも国産の方が安全だ」と信じている。たしかにそういう一面もあるが、「国産だから安心」とは言い切れない。『食の安全を考える会』代表の野本健司さんが指摘する。
「長い時間をかけて実験や研究を行い、その根拠に基づいて食品に含まれる成分を制限したり、禁止したりすることは、日本でも海外でも行われます。しかし、特に日本では、食品メーカーや業界への配慮やしがらみが強く、食品に新たな規制をかけるのが難しい。海外産の食品より国産の方が危険というケースも少なくないのです」
実際、本誌がリサーチしたところ、食べ物や飲料、駄菓子から果物まで実に多岐にわたる食品に、海外では規制されている成分が含まれていることが明らかになった。
特に顕著なのは、「着色料」のリスクだ。加工食品のパッケージ裏の「食品表示ラベル」の原材料名に〈〇色〇号〉と記載されていれば、着色料が含まれる。
「『赤色2号』『黄色4号』といった着色料は『タール系色素』と呼ばれ、石油から作られます。もともとは洋服の染料として使われていたもので、赤、黄、青、緑を組み合わせればどんな色でも作れます。しかし、諸外国では、着色料の発がん性や染色体異常を引き起こす危険性が指摘されており、使用を禁止したり、制限をかけたりしている国が多い」(野本さん)
◆EUで義務付けられた表示
たとえば、ゼリーや清涼飲料水などの着色時に使われる「赤色2号」は、発がん性や妊娠率の低下などのリスクがあるとして、アメリカでは禁止され、EUでも使用が制限される。