11月も半ばを過ぎて、秋の民放連続ドラマが概ね折り返し地点を迎えた。5話までの平均視聴率を見ると、1位は16.2%の『リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~』(テレビ朝日系)、2位は15.9%の『相棒 season17』(テレビ朝日系)となった(視聴率はビデオリサーチ調べ・関東地区。以下同)。堂々の1位を走っている『リーガルV』だが、昨年10月から同じ枠で放送された『ドクターX ~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)は視聴率20%超えを連発し、最終回は25.3%を記録した。1度も20%を超えていない『リーガルV』は、『ドクターX』と比べると少々霞む。なぜ『リーガルV』は『ドクターX』ほど視聴率が伸びないのか。
テレビウォッチャーの吉田潮さんが分析する。
「『リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~』『ドクターX~外科医・大門未知子~』と、タイトルの構造から似ている2つのドラマは、どちらも主演が米倉涼子さんで、よく比較されています。医者を弁護士に変えただけじゃないか、という声もありますが、全く別物です」(吉田さん・以下同)
『ドクターX』は、群れや権威を嫌うフリーランスの外科医・大門未知子が、組織に媚びることなく人命を救う。『リーガルV』はさまざまな事情を抱えた弁護士やパラリーガルを小鳥遊翔子が誘い、法律事務所を立ち上げてチームで裁判に挑む。
「『ドクターX』は、権力がはびこる男社会の中で、大門未知子のぶれない強さが光っていました。男たちは文句を言っても大門未知子に敵わない、だから視聴者は爽快感がありました。“私、失敗しないので”という決め台詞も際立ち、ドラマに中毒性があったんです。
ところが『リーガルV』はチームになり、慣れ合ってしまうので、どうしてもキャラクターのエッジが効きません。メンバーの個性を出そうとしたのか、パラリーガルの3人は元犯罪者なのですが、パラリーガルとしてその個性があまり生きていません。同じテレビ朝日のドラマなら、『特捜9』はメンバー同士がぶつかったりはするけれどチームプレーで事件を解決するし、『相棒』はバディもので構図がわかりやすいのですが、『リーガルV』は役割が曖昧でぼやけています」
小鳥遊翔子の肩書きが“元弁護士”という点もマイナスだと吉田さんは指摘する。