◆入試問題が違う
保護者の頃はどの高校を受けても、試験教科、試験時間、試験問題ともみな同じでした。が、高校進学率が97%にも達するようになって、オール1の子でも高校受験するようになりました。そうなると学力幅の大きい受験生に対応した共通問題では、トップ校は実質的にケアレスミスで差がつき、学力を正当にはかれないという弊害が出てきました。
そこで各都県とも試験問題についてはいろいろ試行錯誤していますので、これについても現在どうなっているか、お知らせしましょう。
【東京都】
・自校作成問題/日比谷、戸山、西、八王子東、青山、立川、国立(以上、「進学指導重点校」)、墨田川、国分寺、新宿(以上、進学重視型単位制)
・グループ作成問題/白鴎、両国、富士、大泉、武蔵(以上、併設型中高一貫教育校)
国語・数学・英語については共通問題より難しい問題で試験を行っています。
【神奈川県】
・特色検査/上位校の多くが学力検査とは別に「特色検査」を行って高度な学力を見ています。横浜翠嵐、希望ヶ丘、横浜緑ヶ丘、柏陽、横須賀、湘南、平塚江南、厚木、市立横浜サイエンスフロンティア、光陵
【千葉県】2日目に各校が面接・自己表現・作文等を行い、それぞれに選抜。
【埼玉県】数学・英語の一部に共通問題より難度の高い「学校選択問題」を出題しています。
実施校は先の「骨太のリーダーを育成する高校生のための埼玉版リベラルアーツ事業」の指定校である県浦和、浦和第一女子、浦和西、大宮、春日部、川越、川越女子、熊谷、熊谷女子、不動岡、越谷北、蕨に加え、川口北、川越南、熊谷西、越ヶ谷、所沢、所沢北、和光国際、市立浦和の20校。
共通問題ばかりの時代は、問題が易しいので、上位校はほぼ満点を取らなければ合格が難しいというイメージがありましたが、いまは上位校ではこのように問題を難しくする工夫をしています。
ですから、長い間、公立高校の受験対策は「基礎・基本」と言われてきましたが、上位校ではより高い応用力を求められるようになってきて、特別な対策が必要になっています。
以上、「学区撤廃」「指定校」「入試問題の違い」といったように、学校の差別化がいろいろな面から進んでいるのが、近年の公立高校の現実です。