11月末から12月中旬は、高校受験において受験校を最終決定する時期である。近年、高校受験は一部の難関校を除いて、どの都道府県でも公立志向が強くなっているという。公立高校の実態は、保護者の時代とは驚くほど変わっている。安田教育研究所代表の安田理氏が、首都圏の公立高校を例に解説する。
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公立高校も都民、県民から評価されなければなりません。私立高校と最も比較されやすいのが大学合格実績。大学合格実績を上げるうえでもっとも手っ取り早い方法が、学力の高い生徒を集めること。そういう視点でとらえると、近年の各自治体の教育政策が理解しやすいと思います。
◆学区がなくなる
保護者の頃は公立高校の普通科には学区というものがあり、居住地によって受験できる高校は決まっていました。それが世の中の規制緩和の流れが高校教育にも及んで、学校選択の自由化ということで、2003年以降撤廃され出しました。
現在、首都圏で学区が残っているのは千葉県のみです(9学区に分かれていますが、隣接学区の高校は受験できるので、実際はかなり広範囲から選べます)。
横浜市立、千葉市立、さいたま市立など市立の場合は学校ごとに規定があり、制限がない学校もあれば、市外は募集人員の8%までという制限のある学校もあります。いずれにしても保護者の時代と違い、居住している都県内ならばほとんどの公立高校が受験可能になっています。
その結果どうなっているかというと、学力に自信のある生徒が特定の学校に集中するようになりました。実際、どの県でも、交通の便が良い学校、大学進学実績の高い学校に人気が集まるようになってきて、トップ校ほど厳しい入試が目立つようになっています。
そのため、3番手以下の学校との間のレベル差が開く傾向にあり、3番手の学校は以前より入りやすくなっていること。また出来る子が特定の学校に吸い上げられてしまって、5番手以下になるとお手本となる子がいないために学校が勉強に適した環境になっていないというケースも生まれています。