それでも参戦してこないのは、日本馬が強くなったからというのもあるが、ヨーロッパではすでに競馬シーズンが終わっていること、11月初旬にアメリカでブリーダーズカップが、12月には香港で国際競走が行なわれることも影響している。今年は凱旋門賞5着馬が参戦。前述のマイナス要件にもかかわらず来日するのだから、日本の馬場に適性があるのではと警戒してしまうが、外国馬はここ10年では3着にすら入っていない。
最近10年のうち牝馬は5回も勝っている(1着入線は6回)。2012年にはアーモンドアイと同じ三冠牝馬のジェンティルドンナが、やはり秋華賞から参戦、前年に牡馬三冠を成し遂げたオルフェーヴルを直線の叩き合いで下している。このときは他にルーラーシップ、フェノーメノ、トーセンジョーダン、エイシンフラッシュなどの実績馬が出走していたためか、秋華賞で130円だった単勝配当は660円に、300円だった馬単は1580円になっていた。
今年は天皇賞馬レイデオロやダービー馬ワグネリアンが回避。53kgで出走でき、レース間隔も理想的な3歳牝馬に人気が集中しそうだ。1番人気は3勝で2着3回と微妙なところだが、3着までを見ると8回。過去20年に遡っても3着を外したのは3回だけ。東京の2400mは、持っている力を出しきれるコースだ。
アーモンドアイの母フサイチパンドラは3歳時、三冠すべてに出走して14、2、3着と好走。エリザベス女王杯ではカワカミプリンセスの降着で繰り上がり優勝し、中1週でジャパンカップに出走、ディープインパクトの5着と頑張った。今回ディープ産駒の出走予定は2頭。母の無念を晴らすことができるだろうか。
●ひがしだ・かずみ/今年還暦。伝説の競馬雑誌「プーサン」などで数々のレポートを発表していた競馬歴40年、一口馬主歴30年、地方馬主歴20年のライター。
※週刊ポスト2018年11月30日号