韓国の元徴用工をめぐる賠償訴訟問題は、かつてないほど日韓関係を危機に追い込んでいる。新日鐵住金に賠償金支払いを命じる判決に続き、今月29日にも三菱重工業を相手取った訴訟で韓国最高裁の判決が言い渡される。その後も総額2兆円にも及ぶ賠償請求への判決が続々と下される。
この問題が1965年の国交正常化の際に結ばれた日韓請求権協定で解決済みなのは繰り返すまでもない。が、そもそも韓国政府は、日本に矛先を向ける前に自国の歴史に向き合うべきではないか。
自国の若者たちを強制動員して働かせるということを、韓国政府自身がやっていたのだ。しかも、その対価として支払うべきカネを外国から調達しながら、それは政府が使い込んでいた──。
1961年、朴正熙政権は、「国家再建と浮浪児の取り締まり」を理由に、「大韓青少年開拓団」を設立し、戦災孤児など1700人にも及ぶ青少年を忠清南道・瑞山の干拓事業に強制動員し、無賃金で働かせたという知られざる史実がある。
動員の対象は男性だけではない。「工場で働ける」と女性を誘って連れてきて、開拓団の男性と強制的に結婚させた。「255組 合同結婚式」は、当時、政府広報として韓国メディアで大々的に取り上げられた。
拉致同然に集められた若者たちは、「干拓した土地を1人3000坪ずつ分け与える」という政府の約束を信じ、管理者からの暴力や飢餓に耐えながら働いた。過酷な労働により、死者数は実に119人にのぼったとの記録が残る。