一人横綱の稀勢の里が早々に休場に追い込まれた九州場所の土俵では、日本人の若手力士たちが躍動した。初場所で進退が懸かる稀勢の里が“徳俵”に立たされている中「次の日本人横綱」に最も近いのは誰か──。
3横綱に加え、終盤戦に入って大関・豪栄道まで不在となった場所で注目を一身に集めたのは、22歳の小結・貴景勝だった。
初日に稀勢の里を破ると一気に勢いに乗った。場所前に師匠・貴乃花が突然の引退を表明し、千賀ノ浦部屋へ移籍という事態に見舞われながら、九州場所で最後まで館内を盛り上げた。
一方、横綱昇進後11場所目にして9回目の休場となった稀勢の里。初場所では、貴景勝とともに今場所を沸かせた大栄翔(前頭9)、阿炎(前頭7)ら若手ガチンコ勢が番付を上げてくるため、初日から難敵との対戦が必至だ。「32歳という年齢もあり、引退は遠くない」(担当記者)という見方が出るのは当然だろう。
ただ、関係者の間では「次の日本人横綱誕生は近い」という声も少なくない。
「今年も年間最多勝力士の勝ち星数が70勝に届かず、これで4年連続です。横綱とそれ以外の力士の実力差が縮まっている証拠で、新横綱誕生が近い“サイン”です」(ベテラン記者)
年6場所制となった1958年以降、年間最多勝が2年以上連続して70勝に届かなかったケースは今年を含めて4回しかない。
「たとえば1968~1969年は、大鵬と柏戸の衰えが明らかになった時代で、1970年1月場所後に玉の島と北の富士が横綱に昇進した。他のケースも同様でした」(同前)
そして今も、“横綱候補”として名前が挙がる若手力士は決して少なくない。