今や「影の総理」といえば、首相の名参謀として知られる菅義偉・官房長官の名前が思い浮かぶが、8年前の菅直人政権時代にも同じ異名をとった剛腕官房長官がいた。去る10月に死去した仙谷由人氏(享年72)だ。
同氏を偲ぶ「お別れの会」が11月30日に都内ホテルで行なわれるが、その案内状に“永田町の薄情さ”がにじみ出ていると話題になっている。会に出席予定の政界関係者が語る。
「仙谷さんは旧民主党政権の屋台骨のような存在だっただけに、発起人には菅(直人)さんや前原誠司さんら代表経験者から、枝野幸男さん(立憲民主党代表)や玉木雄一郎さん(国民民主党代表)ら現在の旧民主党系政党のトップまでズラリと名を連ねた。ところが、本来なら筆頭格でもおかしくない“あの人”がいないのです」
2009年の政権交代直後から、仙谷氏が民主党の実力者である小沢一郎氏(現自由党共同代表)と党内対立を繰り広げていたことは知られるが、“あの人”は小沢氏のことではない。民主党政権の“顔”として同党最初の総理大臣となった鳩山由紀夫氏だ。
「小沢さんが発起人にならないのは不思議ではありませんが、仙谷さんは鳩山内閣を行政刷新担当相として支えた関係。何よりこうした政界関係者のセレモニーでは、『首相経験者』の肩書きは別格です。現役政治家ではないが、鳩山さんの名前がないのは解せない話で、“最初から誰も声をかけなかったのでは”と思えてしまいます」(同前)
鳩山氏は総理辞任から2年後の2012年に政界引退するが、その後に訪れた中国で「尖閣は日中の係争地」と発言したり、ロシアが一方的に併合を宣言したウクライナのクリミア半島を訪問したりするなど独自の“民間人外交”を展開。そのたびに自民党から「おたくの元総理が問題を起こしている」と攻撃された苦々しい思い出が民主党側にある。