中国と国境を接するロシアの極東部やシベリアなどで、農業に従事する中国人が増加している。市場に出回るトマト、キュウリなどの野菜類はほとんど中国人が栽培したものだが、あまりにも大量の農薬や化学肥料を使ったものが多く、不買運動が起こっている。
さらに、ロシア人のなかには、中国人農家のビニールハウスを取り壊すなどの実力行使に及ぶ者も出ており、中露間の外交問題にも発展しそうな勢いだ。米政府系報道機関「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。
ロシア政府はロシア領で農業を営む中国人農家に対して、所得税を免除する優遇策を打ち出している。極東部やシベリア地区は寒冷地で、農業に向いていない地域であることから、ロシア人住民の多くは農作業に関心が少なく、野菜を中心とする農作物が不足しているからだ。
その点、中国の人々は一般的に農業を生業としており、農業に対する抵抗感が少なく、税金の減免によって、農業に取り組みやすいという側面がある。
しかし、地元のロシア住民によると、中国の野菜栽培農家が大量の農薬を使用しているため、土地にダメージが蓄積されてしまい、3~5年後には耕作できなくなる恐れがあるという。さらた、野菜の残留農薬が人間の健康にも悪影響を及ぼしており、近年、健康を害する住民が増えているとの指摘もある。