本拠地ヤフオクドームの福岡ソフトバンクホークス・ロッカールーム側には「資料室」と呼ばれるデータチェックルームがある。何台ものモニターが設置されたその部屋の常連が、今季32本塁打を記録した松田宣浩・三塁手(35)だ。
「毎試合、終了後に直行します。他にも柳田(悠岐)や長谷川(勇也)、森(唯斗)などもよくいますね。僕はまず、その試合の全打席を映像で振り返ります」(松田)
「感覚でプレーしている」タイプの印象が強い松田が、チームで最もデータチェックに熱心な選手というのは意外な事実だ。
「もちろん感覚が一番大切だと思っていますよ。ただ、情報というベースがあった上での感覚です。絶対に当たるわけではありませんが、傾向として、たとえばそのピッチャーが初球ストライクが多いのか、それともほとんどボールから入るのかを頭に入れて打席に立つのと、ノーデータでは結果が違ってくると思いますから」(松田)
試合への準備では、主に相手投手の持ち球とその割合をグラフ化した資料を活用するそうだ。
「たとえばストレートは青とか、スライダーは赤、フォークは黒など色分けしてあるので、僕は相手投手をその色のバランスでイメージしています。『このピッチャーは赤が多めのタイプで、2ストライクに追い込まれたら一気に黒が多くなる』という感じです」(松田)