風邪やインフルエンザ、ノロウイルス(ウイルス性胃腸炎)といった感染症が猛威を振るうイヤな季節に入った──。
インフルエンザ流行のピークは年明け1~3月だが、昨季のインフル患者が2000万人を超え、ワクチンの供給不足が社会問題になったことは記憶に新しい。今年もすでに9月下旬からインフルエンザで学級閉鎖になる小学校が出るなど、流行が警戒されている。「年末年始の忙しい時期に寝込みたくない」と不安を抱いている人は多いだろう。
ウイルスや細菌による感染症の予防として基本になるのは、手洗いやうがい、マスクの着用。ウイルスや細菌が付着したものを手指で触れた後に口などを触ってしまうことによる「接触感染」や、他人の咳やくしゃみのしぶきを吸い込んで感染する「飛沫感染」のリスクを抑えることができるからだ。
近年はこれに加えてアルコール系除菌スプレーやアルコールを含んだウエットティッシュ、次亜塩素酸水など、様々な除菌グッズもドラッグストアで売られている。除菌用スプレーは公共施設や企業の入口にも置かれ、新たな予防習慣になりつつあるのは周知の通りだ。
だが、せっかく手を洗ったり、スプレーなどで除菌したりしても、またすぐにウイルスや細菌が付着してしまうことを心配している人も少なくないだろう。そこで注目されているのが、「離菌」という新たなキーワードだ。「除菌」がすでに付着したウイルスや細菌を除去するのに対して、「離菌」はウイルスや細菌を寄せ付けない、つまり“バリア”のようなイメージである。
「チオビタ・ドリンク」で知られる大鵬薬品工業が今年9月に発売したウイルス除去・抗菌スプレーの「Efil(エフィル)」は、衣類やカバンなど手が触れる様々なモノに吹きかけることで「離菌」するというコンセプトの製品だという。もちろん外出先のトイレやドアノブなどに使用し除菌を行うことも可能だ。
同社は抗がん剤などの研究・開発も行っており、医療現場や介護の現場などをリサーチすると、がんなどの疾患により免疫力が低下した方や高齢者や介護が必要な方とその家族、小さい子供を持つ方などの菌・ウイルス感染に対する心配が多くあることに気付いた。外出に不安を抱えている方のために、「菌やウイルス感染に対する様々な不安を抱える生活を180度転換させて、安心した毎日を過ごしてほしい」との願いを込めて開発されたことから、「Life(生活)」の逆さ言葉として「Efil」と名付けられたという。
同社コンシューマーヘルスケア市場開拓部の寺内隆造氏が説明する。
「『Efil』の主成分に含まれるエタノールが、すでに付着しているウイルスや菌を素早く除去します。さらに銀イオンを配合することで、長時間効果が持続することを実現しました」
つまり「除菌+離菌」という考え方だ。銀イオンの離菌効果によって、24時間は安心が続くという。スプレーで“朝除菌”する習慣があれば、通勤時の満員電車に始まって、多くの人が集まる会議や営業の外回り、そして家に帰るまでバリアが続くことになる。
東京・品川区にあるみやざきRCクリニックの院長で内科医の宮崎雅樹氏は、日常生活に潜む感染症罹患リスクと対策について、こう指摘する。