●がんなら「放射線科医」か「腫瘍内科医」に聞け
中川医師が続ける。
「臓器ごとの診療をする外科医や内科医と違って、放射線科専門医はあらゆる部位のがんを診ているので、より客観的に診断できます。早期の転移がない場合は、最初に腫瘍内科医に相談して、そこから治療のために外科医や放射線科医を紹介してもらう手があります」
●正しい判断を妨げる「ドクターショッピング」
がんなどの重篤な病気ほど、「自分が聞きたい意見」ばかりを求めないよう気をつけたい。とくに、昨今は医学的根拠のない民間療法への警鐘が鳴らされているが、不安が増大した患者ほど、間違った選択を選びやすいことは、行動経済学の観点からも指摘されている。『医療現場の行動経済学』(東洋経済新報社刊)の編著を持つ、大阪大学大学院経済学研究科教授の大竹文雄氏(経済学)がいう。
「がんなどを宣告されてショックを受けた患者は、わかりにくい医学的説明よりも、民間療法の『〇〇でがんが消えた』といった新聞広告のように目に入りやすく、断定的な説明をもとに意思決定をしがち。行動経済学では『利用可能性ヒューリスティック』と呼ばれる行動特性です」
浜松オンコロジーセンター院長で、セカンドオピニオン外来を担当する渡辺亨医師(腫瘍内科)は、複数の医師を求めて病院を渡り歩く“ドクターショッピング”についてこう指摘する。
「高齢患者には体力的な負担となりますし、基本的に自費診療となるセカンドオピニオン外来では医療費負担も大きいので避けたほうがいい」