日本大学のイベントサークル幹部が、サークル会費を取り立てようと元メンバーを暴行しバッグを奪った強盗容疑で逮捕された。同サークルでは、一度でも加わったメンバーに対して、厳しい会費の取り立てが行われていた。これをきっかけとして、他のイベントサークル、通称イベサーでも金への執着を隠さない、似通った実態が明るみに出つつある。ライターの森鷹久氏が、イベサーの現幹部と元幹部に、イベントサークルの実態や目的を聞いた。
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サークルの元メンバー男性に暴行を加え、バッグなどを奪ったとして日本大学4年でサークル幹部の男二人が逮捕された事件。パーティーなどに人を連れてくる「ノルマ」が課せられたり、毎月のサークル費を強制的に徴収されたなど、同サークルに関わった学生たちから他にも被害を訴える声が続出しているが、その舞台はまたしても「イベントサークル」だった。
「イベサー」と聞けば、2003年に起きた早稲田大学のサークルが起こした事件のイメージが強い。14人もの実刑判決が出たこの事件は2004年に集団強姦罪と集団強姦致死傷罪を創設につながったため、大人にとって大学のイベサーと聞けば、飲酒を強要して女性に乱暴をする悪い印象が強くある。それから十年以上が経った今の大学生は、当時の事件を知らない世代だ。そのためか、いまも各大学には様々かつ悪質なイベントサークルが存在している。
果たして現在、イベントサークルとはどのような人たちが何のために運営しているのか?
都内の有名私大に通う現役イベントサークル幹部・O氏は、今は金儲けと人脈づくりがイベントサークルを主宰する目的だと言う。
「金と人脈だけっすね。有名サークルの幹部になれば、月に数十万を稼ぐ人間もいます。社会人になってからも、サークルの相談役や会長を名乗って影響力を及ぼし、収入が永続的に続く」(O氏)
サークルの主な収入源は、メンバーから集める会費と、イベントの参加費用だ。これでどうやって金儲けになるのかと思うが、より多くのイベント参加者を集められれば参加費が増え、サークルメンバーの人数が多ければ会費という名の定期収入がかなりの金額になる。赤字になるイベントもありそうなものだが、大勢の参加者を集めさえすれば、開催費用よりもずっと多くの金が入るから問題ないのだそうだ。また、学生のお遊び程度だろうと思いがちだが、一回のイベントで収益が数百万に及ぶこともあり、金額的な部分だけみれば、完全なビジネスが成り立っている側面もある。
「イベントだけじゃなくて、セミナーもやっていますよ。人が集まれば直”カネ”になりますから、昔より集客はシビアに求められますね。たとえば、一回三千から五千円の入場料がかかるイベントに新規で人を呼んだ場合、(勧誘に成功したメンバーへの報酬として)バックは大体二千円。サークルの会費が月に一万から三万円かかるイベサーがありますが、大体5人から10人を(イベントへ)毎月、新規で勧誘すればチャラ。それ(会費の金額)以上は丸々自分の儲けとなる。実際に集客頑張って、月に何十万も稼いでるやつはいますよ」(O氏)
主催するイベントへの参加者を集めると、その成功報酬として入場料の一部がメンバーに配分されるのが、多くのイベントサークルで採用されている仕組みだ。そのサークルにとって初めてのお客さん、新規参加者であれば成功報酬の割合も高く設定されている。数万円単位のサークル会費は大学生にとって大きな負担だが、初参加の人を数多く連れてくる才覚や要領の良さを身につければ、かなり割の良いアルバイト代わりになる。