2018年シーズンを2年連続日本一で終えた福岡ソフトバンクホークスだが、戦術面だけでなく、選手育成面に至るまで、「データ重視」の姿勢が球団全体に浸透している。
チーム戦略室の関本塁データ分析担当ディレクター(42)によると、工藤公康監督も「非常にデータを重視する」タイプだそうで、采配面でも大いに活用されているそうだ。
「工藤監督ご自身がデータに精通し、その有効性を理解されているので、首脳陣に対しても我々が意見を伝えやすい環境にあります。今季まで作戦コーチを務め、来季からヘッドコーチに就任する森浩之さんは、かつて戦略室でともに戦った方。そのことからもわかるように、首脳陣とも密に連携していますし、データは現場に浸透しています」(関本氏)
こうしたデータ野球の方針を貫いたことで、ホークスからは球界に古くから存在していた役職が姿を消した。「先乗りスコアラー」である。次カードで対戦する相手チームの偵察のため、チームに先んじて試合に足を運び、実際に球場で視察して、調子の良し悪しなどを判断する重要な役職だ。もちろんかつてはホークスにも存在したが、現在ではホークスはおそらく12球団で唯一、「先乗りスコアラーがいない球団」となっている。