競馬において、12月になると阪神では2歳チャンピオンを決めるGIが、中山では日本で一番馬券が売れる有馬記念が行なわれて大いに賑わうが、前半の6日間は中京でも開催される。たまには遠征してみてはどうだろうか。競馬歴40年のライター・東田和美氏が、「裏開催」の愉しみについてお届けする。
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JRAの競馬場は全国に10場ある。夏季(おおよそ7、8月)の10週をのぞいて、関東なら東京競馬場か中山競馬場、関西ならば京都競馬場か阪神競馬場で開催されているが、同時期にもう1か所、中京、小倉、福島、新潟で開催されるのが、いわゆる“裏開催”である。首都圏・関西圏の主場で華々しく重賞レースが行なわれているのにくらべると、騎手も馬もレース自体も地味だ。
しかし「儲ける」ということを考えれば、主場も裏開催も、GIも下級条件も関係ない。
主場での1番人気馬の勝率はおおむね30%半ば、連対率は50%を超えるが、裏開催では、ぐっと低くなる。10月の新潟ではそれぞれ20%台、40%台だった。新潟3日目と6日目は1番人気がそれぞれ1勝しかできなかった。単勝300円以下、馬連1000円以下での決着は少なく、6日間の馬連万馬券や10万円以上で決着した三連単の数は、9日間あった東京、京都よりも多かった。11月の福島開催でも同じような傾向で、上位人気馬が期待通りに勝てていない。
堅い決着が減るので、穴党にとっては「儲かる」可能性が増える(はず)。当日の馬の状態を見て馬券を買う“通”なファンは、首都圏でGIが行なわれている日に、わざわざ裏開催に出かけていく。モニターに映し出される主場の混雑ぶりを眺めつつ、じっくりパドックと返し馬をチェックし、すいている売場でのんびり馬券を買うというわけだ。新潟や福島は競馬場周辺に温泉地も多く、季節柄紅葉なども楽しめる。ちゃっかりと旅費・宿泊費に小遣いまで稼ぎ、体も懐も暖まったという方もいる。