初演当時はまだ21才。けがをしても、胃腸炎になっても、腰骨を強打しても一度も公演を休んだことはない。積み上げた上演回数は来年で1700回を迎える。そこまで堂本光一を突き動かすものとは一体…知られざる18年の物語。
高さ5m、22段の階段から勢いよく転がり落ち、命綱をつけずに腕力だけで客席の上を優雅にフライングで舞う。スポットライトを浴びるのは、大劇場の舞台への出演を夢見る1人の男だ。
信条は「Show must go on」(何があってもショーは続けなければならない)。自らカンパニーを率いて仲間との衝突や葛藤を抱えながら走り続ける。主人公はどうしても、リアルな彼の生き様と重なって見える。上演時間は3時間10分。客席からは一瞬シンと静まり返ったあと、割れんばかりの拍手が沸き起こる…。
11月21日、堂本光一(39才)は『Endless SHOCK』(以下、『SHOCK』)の制作発表会見を行った。
「光一くんとヒロインの梅田彩佳さん(29才)らキャスト陣が劇中歌の生歌を披露したのですが、これは会見では初めてのことでした。また、報道陣以外に約500人のファンを会見場に招いたのも異例のこと。
今回は明らかにいつもと違う雰囲気です。KinKi Kidsの年末年始のライブが中止になったこともあるのか、とにかく舞台への気合が入っているように感じる」(芸能関係者)
『SHOCK』は2000年に『MILLENNIUM SHOCK』として東京・帝国劇場で初演。以来、光一は一度として代役を立てることなく主演を務めてきた。2005年からは脚本も手がけ、今のストーリーが生まれた。
「当初は“あの帝国劇場でアイドルの学芸会をするのか”と眉をひそめる向きもありました。そうした声をはねのけようと光一くんの努力は凄まじかった。
初めはジャニーさんが脚本や演出を行っていましたが、彼の熱意に負けて全面的に任せるように。それほど光一くんはこの18年、『SHOCK』の舞台にのめり込んできました」(演劇関係者)
2008年には、過去に森繁久彌さん(享年96)や森光子さん(享年92)らが受賞してきた『菊田一夫演劇大賞』を受賞。現在、上演回数は1630を誇り、ミュージカルの単独主演記録として1位を更新中。来年の千秋楽には、記念すべき1700回公演を迎える。今や「日本一チケットの取れない舞台」といわれるまでになった。
◆立ち会えないオーディションと公演打ち切り事件
光一は『SHOCK』のオーディションから参加する。
「ヒロイン役は毎回オーディションがあります。光一くんは以前立ち会った時に、張り詰めた空気の中、必死に演技をやらされている女優さんがつらそうに見えてコメントできなくなったとか…。それ以降、あとでオーディション映像を見てコメントするようになりました」(舞台関係者)
バックを支える、ジャニーズJr.らメンバーにもこだわる。
「踊れること、歌えること、演技力があることが条件だと言っています。後輩として見るのではなく、共演者として同じ舞台で一緒に何を残せるかという目線で見て決めるそうです」(前出・舞台関係者)