ライフ

ダウン症児育てる奥山佳恵、「何もできないと押し込むのは危険」

障害児の母である奥山佳恵がベテラン小児外科医と対談(撮影/浅野剛)

「発達障害」に関して、親のあり方や周囲の応じ方が論じられている。そんな中、自閉症として生まれてきた少年・勇太くん(仮名)とその母を取材した単行本『発達障害に生まれて』(中央公論新社刊)が版を重ねている。障害児を授かった親は、周辺社会は、どのように歩を進めるのがいいのか──育児や日々の生活を綴るブログで多くのファンを持つ女優・奥山佳恵さんと同書の著者であるベテラン小児外科医・松永正訓(ただし)さんが対談した。

 奥山さんは2011年に誕生した次男・美良生(みらい)くんが生後1か月半の時にダウン症と告げられた。

奥山:美良生が生まれたばかりの時は漠然と将来が不安になったりしました。将来の展望が見えづらいから。でも、ある時から考えないようにしたんです。想定できない未来を考えても仕方ない。将来も笑顔でいるために、今日明日を心から楽しもう、と。

松永:まったく問題ないと思いますよ。ただ、長く生きる中で節目があって、それがたぶん就労と住まいだと思うんですよね。親亡き後のわが子の人生。その節目にはたぶん深く考えることになるのでは、と思います。

奥山:制度も年々変わっていきますよね。それも想定できないものの1つです。

松永:たしかにそうですね。福祉の制度はコロコロ変わる。

奥山:年単位で変わります。

松永:逆にいうとあんまり先のことを考えても意味がない。

奥山:そうなんです。なので楽観的ではあるんですけど、まだ7才、小学校に今年入ったばかりの美良生がいて。本当だったら就労先とか、グループホームとかいろいろ考えなきゃいけないのかもしれないけど。

松永:そうですね。法律もどんどん変わっていくし、障害者差別解消法(※)だって、そんな法律ができるなんて数年前までは、あまりみんな思っていなかったと思うんですよね。でも、時代は変わっていきますよね。歴史って必ず進歩していくんです。

※平成28年4月から施行。役所や会社や店などの事業者が、障害のある人に対して、受付対応を拒否したり、本人を無視して介助者や支援者、付き添いの人だけに話しかけたりする行為などを禁じている(「不当な差別的取扱いの禁止」)。また、社会の中にあるバリアを取り除くために何らかの対応を必要としているという意思を障害のある人から伝えられた時に、負担が重すぎない範囲で対応することが求められる(「合理的配慮の提供」)。

奥山:子育てする母としては、健常でも健常でなくても、家を飛び出して街に出た方が親子のためであると思っているんです。母親も体の中の空気を入れ換えることができるし、どんな子であれ知ってもらうことが親も子も救うことになると思うんですよね。

 狭い家の中で完結する親子関係だけだと救いの手が出しにくいし、SOSも出しにくいと思うので。情報とか言葉の支える力とか、発信できる場所とか。そういうものを少しでも多く持っている方がいいと思うし、お母さんが笑顔になったら子どもも幸せになれると思う。

関連記事

トピックス

中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
X子さんフジ退社後に「ひと段落ついた感じかな」…調査報告書から見えた中居正広氏の態度《見舞金の贈与税を心配、メッセージを「見たら削除して」と要請》
NEWSポストセブン
ロコ・ソラーレが関東で初めてファンミーティングを開催(Instagramより)
《新メンバーの名前なし》ロコ・ソラーレ4人、初の関東ファンミーティング開催に自身も参加する代表理事・本橋麻里の「思惑」 チケットは5分で完売
NEWSポストセブン
中居氏による性暴力でフジテレビの企業体質も問われることになった(右・時事通信)
《先輩女性アナ・F氏に同情の声》「名誉回復してあげないと可哀想ではない?」アナウンス室部長として奔走 “一管理職の職責を超える\"心労も
NEWSポストセブン
濱田淑恵容疑者の様々な犯罪が明るみに
【女占い師が逮捕】どうやって信者を支配したのか、明らかになった手口 信者のLINEに起きた異変「いつからか本人とは思えない文面になっていた」
週刊ポスト
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
「スイートルームの会」は“業務” 中居正広氏の性暴力を「プライベートの問題」としたフジ幹部を一蹴した“判断基準”とは《ポイントは経費精算、権力格差、A氏の発言…他》
NEWSポストセブン
大手寿司チェーン「くら寿司」で迷惑行為となる画像がXで拡散された(時事通信フォト)
《善悪わからんくなる》「くら寿司」で“避妊具が皿の戻し口に…”の迷惑行為、Xで拡散 くら寿司広報担当は「対応を検討中」
NEWSポストセブン
男性キャディの不倫相手のひとりとして報じられた川崎春花(時事通信フォト)
“トリプルボギー不倫”4週連続欠場の川崎春花、悩ましい復帰タイミング もし「今年全休」でも「3年シード」で来季からツアー復帰可能
NEWSポストセブン
騒動があった焼肉きんぐ(同社HPより)
《食品レーンの横でゲロゲロ…》焼肉きんぐ広報部が回答「テーブルで30分嘔吐し続ける客を移動できなかった事情」と「レーン上の注文品に飛沫が飛んだ可能性への見解」
NEWSポストセブン
佳子さまと愛子さま(時事通信フォト)
「投稿範囲については検討中です」愛子さま、佳子さま人気でフォロワー急拡大“宮内庁のSNS展開”の今後 インスタに続きYouTubeチャンネルも開設、広報予算は10倍増
NEWSポストセブン
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ
「スイートルームで約38万円」「すし代で1万5235円」フジテレビ編成幹部の“経費精算”で判明した中居正広氏とX子さんの「業務上の関係」 
NEWSポストセブン
「岡田ゆい」の名義で活動していた女性
《成人向け動画配信で7800万円脱税》40歳女性被告は「夫と離婚してホテル暮らし」…それでも配信業をやめられない理由「事件後も月収600万円」
NEWSポストセブン
現在はニューヨークで生活を送る眞子さん
「サイズ選びにはちょっと違和感が…」小室眞子さん、渡米前後のファッションに大きな変化“ゆったりすぎるコート”を選んだ心変わり
NEWSポストセブン