都心部などで新築マンション価格が高騰する“局地バブル”が長らく続いてきたが、ここにきて、ついに頭打ちの様相を呈しているという。その要因として「坪400万円の壁が大きい」と指摘するのは、住宅ジャーナリストの榊淳司氏だ。
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都心のマンション市場における局地バブルが本格的に始まったのは、2014年の異次元金融緩和第2弾(いわゆる黒田バズーカ2)以降である。2015年と2016年は外国人の爆買いや相続税対策などもあって、都心のマンション価格は目に見えて上昇した。
港区や千代田区の人気エリアでは2013年に比べて1.5倍から2倍の水準になっている。この影響を受けて世田谷区などの城南エリアでも新築、中古ともにマンション価格が上昇した。おおよそ1.2倍から1.5倍くらいであろうか。
ただし、ここにきて奇妙な現象が起きている。都心の人気ステイタスエリアを別にして「頭打ち感」が出始めたのだ。この現象を説明しよう。
まず、文京区を例に見てみたい。文京区といえば区域のほとんどが山手線の内側になり、教育施設が多く集まる文教地区もいくつかあるので居住ニーズは高い。マンションも比較的売れやすいエリアだ。
その文京区の新築マンションも、バブルの勢いに乗って価格が上昇した。人気エリアだと坪単価にして400万円を軽く超えてしまった。ただし、そういう高価格な物件はだいたいが建物完成まで売れ残り、最後は値引きになった物件も多い。逆に、坪単価を300万円台に抑えた物件は、比較的スムーズに完売に至っている。
次に世田谷区に目を転じよう。城南エリアの代表格である世田谷区は、この局地バブルが始まる以前は坪単価200万円台の物件も多かった。ところが今では300万円未満の物件はごくわずか。中には400万円台を突き抜けている物件も見られる。しかし、そういう物件は軒並み販売不振だ。最近では、人気のある駅に比較的近い場所で売り出される物件でも、価格は坪単価300万円台の中後半に留めているケースも見かけるようになった。
世田谷から東横線に沿って多摩川を超えれば、そこは武蔵小杉だ。この駅近エリアではタワーマンションが林立。平均坪単価を300万円台中盤に設定された物件は、わりあいスムーズに完売。しかし、販売途中で値上げを行い坪単価300万円台後半から400万円台とした物件は、竣工から何年も売れ残っている。
今話題の東京都中央区の勝どきエリア。ここもタワーマンションが林立している。駅に近い中古タワーマンションが常時数十物件売り出されている。7000万円から8000万円くらいの物件は売買が成立しやすい。1億円を超えると、途端に動きが悪くなる。
その原因を解説しよう。都心の実需向けマンション市場は、坪単価400万円のラインで頭打ちになっている。つまり、マンション価格にして8000万円くらいまでの物件は新築も中古も売買が成立しやすい。ところが、そこを超えると動きにくい。総額8000万円ということは、20坪だとすると坪単価が400万円となる。
つまり、坪単価400万円あたりにかなり強力な壁が形成されているのだ。なぜだろう?