ピンクと白のトルコ桔梗1000本に彩られて、大女優が旅立った。12月4日、女優・赤木春恵さん(享年94)の告別式が都内の築地本願寺和田堀廟所で営まれた。
『渡る世間は鬼ばかり』『3年B組金八先生』(ともにTBS系)など230を超える作品に出演した赤木さん。2007年には乳がんを患い、左胸を全摘出。3年前に自宅で転倒して大腿骨を骨折し、さらにパーキンソン病を患いながら、家族の支えで療養を続けた。そして、11月29日、心不全でこの世を去った。
葬儀委員長を務めたテレビプロデューサーの石井ふく子さん(92才)は、赤木さんを「ママ」と呼んで慕った。卒寿を迎えた石井さんがママと呼ぶのは赤木さんだけだ。
「ママは何かにつけて相談に乗ってくれました。昨年3月のママの誕生日に贈り物をしたら、お礼のおはがきをいただいたのが最後の交流。いつも達筆なのにその時は筆がちょっとおかしかったのですが、いつまでも元気なかたと思っていたから気にしませんでした。その後、お孫さんの野杁俊希さん(のいり・としき 29才)にお会いした時に体調を聞いたところ、“大丈夫です”と言うので安心していたのですが…」(石井さん)
最期は家族に見守られながらの94才の大往生だった。
ともに、昭和、平成と日本の芸能史を歩んできた石井さんと赤木さんだが、全く異なる“老後”を送っていた。
石井さんは赤木さんのようにそばにいる家族はおらず、都心の一等地にある高層マンションでひとり暮らしをしている。“おひとりさま”生活を送っているのかと思いきや、そんなことはない。
石井さんは、京マチ子(94才)、奈良岡朋子(89才)、若尾文子(85才)と同じマンションに暮らしている。
「15年ほど前に奈良岡さんから“いい物件がある”と教えられ、モデルルームを見に行ったら気に入って住むことを決めました。奈良岡さんも住むようになって、引っ越しを考えていた京さんにも勧めました。若尾さんはご自分でお決めになって、ある日マンションの玄関でバッタリ会ってビックリしました」(石井さん)
マンションは24時間管理人が対応し、病院や郵便局、役所なども近く、安心して生活を送れるようだ。
それにしても往年の名女優が一つ屋根の下に集い、ともに余生を過ごすのは、2017年に人気を博した倉本聰さん(83才)脚本のドラマ『やすらぎの郷』(テレビ朝日系)のようだ。実際、名女優らは助け合って暮らしている。