12月で85歳を迎える天皇は、現在でも年間約200件にのぼる公務をこなす。退位を5か月後に控えた今も変わらず矍鑠(かくしゃく)としたその佇いは活力に満ちている。天皇の日常を知る人々の言葉に耳を傾けると、その“健康習慣の秘密”が垣間見える──。
天皇家は代々、専門分野を持つ研究者の顔も併せ持つ。今上天皇はハゼの研究者として知られ、8種類の新種を発見されている。
2016年10月には国立科学博物館の研究員3人と共同で、「皇居におけるタヌキの果実採食の長期変動」と題した英語論文を発表。2009年1月~2013年12月までの5年間にわたり、皇居に生息するタヌキの糞を採取・分析した成果が綴られている。
「タヌキの糞は毎週日曜に皇居内の溜め糞場に、陛下自ら採取に向かわれていました。5年間・261週にわたって、です。さらに、研究分野の最新論文などにも目を通されており、宮中にご進講に訪れた大学教授らが、陛下の博識ぶりに驚くことも多い」(宮内庁関係者)
有識者との懇談など、“刺激”が常にあることも活力の源になっているのだろう。
天皇の日常で最もコミュニケーションが多いのが皇后である。長く天皇の「主治医」を務めた金澤一郎氏(2016年没、享年74)は、2011年11月に天皇がマイコプラズマ肺炎を患った時のことを、『文藝春秋』(2012年8月号)でこう振り返っている。