【書評】『名医が教える病気の見つけ方 匠の技術と高度先進医療との融合』/掛谷和俊・著/弘文堂/1500円+税
【評者】山内昌之(武蔵野大学特任教授)
腸間膜脂肪織炎という疾患を聞いたことがあるだろうか。御存知の読者はよほど医学に通じているか、或いは自ら苦しんだこともある人だろう。おへその上から胃のあるあたりにかけて鈍い痛みが持続するが、病因を特定しづらい。
尿道結石の痛みとも違う独特なものだ。かかった者でなければ到底つらさが分からないだろう。そして、本書の著者はこの種の稀な疾患をたちどころに見つけ出すことで定評のある内科医なのだ。
掛谷氏によれば、セカンド・オピニオンは、前の医者よりも臨床経験や技量が豊かな医師に聞かないと意味がない。腸間膜脂肪織炎を発見できない医師も珍しくない。その際、テレビやインターネットなどメディアで宣伝している著名な病院は要注意だと率直に助言する。
他方、痔なども放置しておくと痔瘻にもなり、肛門に激痛が走り、早めに手術しないと大変なことになる。さらに歯を大事にして脱水症状にも気をつける日常の心掛けが万事健康には大切なのだ。加齢とともに起こる関節痛もつらいものだ。日ごろから骨や筋肉を鍛えないと変事が起こる。理学療法や手術だけで治るはずなのに、わざわざ関節置換されるひどいケースもあるらしい。